3Dプリンタで着心地の良い服を量産、2016年に一般販売目指す:3Dプリンタニュース
「STARted」を運営するバンダースナッチは、インダストリアルデザイナーの小野正晴氏、東京大学大学院でデジタルファブリケーションなどを研究をしている大嶋泰介氏と共同で、3Dプリンタによる服の量産化を実現する「Auxetic Materials(オーセチック構造)」と、同構造を布生地に縫製したプロトタイプ「3D Normcocre」を発表した。
イラストをアップロードするだけでアパレルアイテムが作れるオンラインファクトリー「STARted」を運営するバンダースナッチは2015年11月16日、3Dプリンタによる服の量産化を実現する「Auxetic Materials(オーセチック構造)」と、同構造を布生地に縫製したプロトタイプ「3D Normcocre」を発表した。
Auxetic Materialsおよび3D Normcocreは、STARted、3Dモデリング領域で活動するインダストリアルデザイナーの小野正晴氏、東京大学大学院でデジタルファブリケーションなどを研究をしている大嶋泰介氏による共同開発で実現したもの。3Dプリンタを活用した服は欧米のファッションショーなどでも見られるが、今回の取り組みでは1点もののショーアイテムとしてではなく、普通に着用できる3Dプリンタ製の服の量産化(一般販売)を目指す(関連記事:アルゴリズムが無限のデザインを創り出す――Grasshopper使いの“3D漬け”生活)。
Auxetic Materialsは、3次元構造物の表面に構造計算されたパターンを付与することで、素材ではなく“構造による柔軟さと弾性のあるしなやかさ”を作り出す。3D Normcocreは、Auxetic Materialsを用いて3Dプリントされたプラスチック素材と布生地を縫製することで実現。量産を前提に、通常のアパレル工業ラインで製造され、従来の衣類製造に関する技術やノウハウが活用されており、さまざまなデザインの服の製造が可能であるという。
今後、3D Normcocreの開発で得たノウハウを基に、素材・構造・製法などをさらに見直し、2016年内に3Dプリンタから出力した服の量産・販売を開始する予定。
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