キヤノン独自の出力方式を採用した3Dプリンタ、3年以内に製品化を目指す:Canon EXPO 2015 Tokyo(2/2 ページ)
キヤノンは「Canon EXPO 2015 Tokyo」において、自社開発したハイエンド3Dプリンタのコンセプトモデルに関する展示を行った。汎用樹脂素材とサポート材からなる「材料シート」の生成工程と、材料シートを溶着し積層していく工程を同時に行うことで、精度と強度の確保、造形速度の向上を実現しているという。
気になる造形速度は?
造形速度についても「3Dデータのスライス形状を一層ずつシート化する工程と、それを順番に積層していく工程を同時並行に行うことができるので、他の出力方式に比べて高速に造形できる」と説明員。展示会場では高速造形の参考として、約30分間で30個のパーツを一括出力したという造形サンプルや、1時間に50個以上、60個以上造形可能なサンプルが展示されていた。
「これまで3Dプリンタは試作を中心に活用されてきたが、われわれの3Dプリンタがまず目指すのは数百個規模の小ロット生産だ。恐らく、射出成形機からの置き換えがターゲットになってくるだろう。製造装置として活用できるよう造形物の精度や強度、造形速度といった基本性能を高めることを重要視して開発を進めている」と説明員。
残念ながら、使用可能な汎用樹脂材料の種類や最大造形サイズ、積層ピッチなどの仕様についても非公開ということで、詳細を聞くことができなかった。また、カラー対応については、「現段階では単色での造形を想定しているが、将来的にはフルカラー化も検討していきたい」(説明員)とのことだ。
3Dプリンタの開発について、数年前から取り組んできたという同社。「今回のコンセプトモデルの開発は、キヤノンがこれまで培ってきたプリント技術やその他の保有技術の積み上げにより実現できたものだ。ただ現状では、24時間フル稼働させるための耐久性や稼働時の消費電力といった課題も残されている。こうした課題をクリアし、今後3年以内に製品化したいと考えている」(説明員)という。
関連記事
- リコー初の自社ブランド3Dプリンタ「RICOH AM S5500P」発表
リコーは自社ブランド製品として初となる3Dプリンタ「RICOH AM S5500P」を発表した。販売価格(税別)は7500万円。2015年10月30日から日本国内での受注を開始する。 - 世界初、1000万色フルカラーUV硬化インクジェット方式3Dプリンタの実力
ミマキエンジニアリングは、開発中のフルカラーUV硬化インクジェット方式3Dプリンタの試作機を用いた「フルカラー3Dプリントサービス」を、子会社であるグラフィッククリエーションが開始したことを発表した。 - 「3Dプリンティング技術に関するハイプサイクル2015年版」のここがポイント
米国の調査会社Gartnerが発表した「3Dプリンティング技術に関するハイプサイクル2015年版」のポイントをガートナー ジャパンの主席アナリストに聞いた。キーワードは「医療分野での利活用」。 - 2019年には560万台へ、年2倍ペースで出荷台数を伸ばす3Dプリンタ
Gartner(ガートナー)は、3Dプリンタの市場予測に関する最新の調査リポートを発表。全世界における3Dプリンタの出荷台数の予測は、2015年が24万4533台。2016年は約2倍の成長を遂げて、49万6475台に達する見込みだという。 - 「MREAL」と「3Dプリンタ」がモノづくりを加速――キヤノンMJ、3Dソリューション事業を展開
キヤノンマーケティングジャパンは、ビジネスソリューション分野の新たな成長エンジンとして、「3Dソリューション事業」の立ち上げを発表。これに伴い、3D Systems社製の3Dプリンタの取り扱いラインアップを強化した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.