単品売りから工場丸ごと提案へ、スマート工場を主軸とするパナソニック:スマートファクトリー(2/2 ページ)
パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は、同社のスマートファクトリーソリューション事業部の事業戦略について発表した。
ソリューションビジネス強化のカギを握るIoT
これらのソリューションビジネスへの移行で重要なカギを握ると見られているのが、IoTである。IoTを活用することで、それぞれの製造装置から製造データや機器の稼働データなどを取得し、それを解析することで、製造品質の向上や、機器の予防保全などを行えるようになる。
以前からパナソニック製の機器についてはネットワーク化への取り組みはあったが「ポイントはパナソニック製だけではなく他社製の製品も含めてネットワーク化を進めるという点だ。実装のプロセス全体の機器のデータログも集めて、プロセス全体でどういう状況が今起こってるのか、なぜ不良が起こっているのかというのを分析して判断することで、顧客の生産効率改善につなげられる。こうしたプロセスを提供にできるというのが従来との大きな違いだ」と青田氏は述べる。
この取り組みを生産ライン全体からフロア全体、工場全体へのソリューションへと拡大していく。これらを実現するため「設備と設備」「工程・工場内の各エリア」「取引先・エンドユーザー」などのつながる環境作りを進めていく。
現状ではこれらのコンセプトは、実装プロセスの一部で実現できているところもあるという。既に北米で導入済みのところもあり、設備のデータをパナソニックが集めて解析し顧客に提供するようなサービスも行っているという。「この顧客からの反応は良く、今後チェコとメキシコにもこのシステムを展開する予定だ」(青田氏)としている。
また、これらの取り組みは、スマートファクトリーソリューション事業部だけでは実現できない規模の取り組みになるが、社内外のリソースを積極的に活用していくという。「パナソニックシステムソリューションズなど、まずはグループ社内のリソースを活用して実現を進め、それでも難しければ他のITベンダーなどとの協力によって実現する。自社のリソースだけにはこだわらない」(担当者)という。
インダストリー4.0にもインダストリアルインターネットにも全方位で対応
ドイツではインダストリー4.0、米国ではインダストリアルインターネットコンソーシアムなど、国や地域によって、IoTを活用した新たな工場の姿をまとめようという動きが出てきているが「基本的には全方位で世界の規格に対応していくという姿勢だ。インダストリー4.0の動きについても当然内容についてはしっかりと把握するようにしており、実際に動きが出た時にそれに合わないというようなことはないようにしている」と青田氏は述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- パナソニックファクトリー、生産変動に柔軟に対応する高効率ソリューションを提案
パナソニックファクトリーソリューションズは、プライベート展「Panasonic FA Show 2013」を開催。同社の主力製品である電子部品実装製品や半導体実装製品などはもちろん、「工場トータルソリューション」をテーマに、総合的な価値提案を行った。 - ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】
「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」という言葉をご存じだろうか? 「インダストリー4.0」は、ドイツ政府が産官学の総力を結集しモノづくりの高度化を目指す戦略的プロジェクトだ。インダストリー4.0とは何なのか。同プロジェクトに参画するドイツBeckhoff Automationグループに所属する筆者が解説する。 - オムロンの“標高10mのIoT”は製造現場を明るく照らすか(前編)
オムロンは「IoT時代のFA」をテーマに記者会見を開催した。インダストリー4.0などIoTの製造現場での活用が進む中、同社の考えるFAの将来像と戦略、またそれを実践する製造現場などを紹介した。前編では同社の考えるIoT戦略について、後編では製造現場におけるIoTの自社実践の様子についてお伝えする。 - 製造業のIoT活用、他社に“差”をつける考え方
製造業で活用への注目が集まるIoT。しかし、具体的にどういう取り組みを計画すべきなのか戸惑う企業が多いのではないだろうか。また、IoT活用を企業としての利益に結び付けるにはどうしたらよいかという点も悩ましい。本連載「もうけを生む製造業IoTの活用手順」ではこうした製造業のIoT活用のポイントを解説していく。 - 政府主導の“インダストリー4.0”対抗基盤「IoTによる製造ビジネス変革WG」が始動
政府主導で2015年5月に始動した「ロボット革命イニシアティブ協議会」において、IoTによる製造業革新の動きについて、企業間連携や国家間連携の基盤となる「IoTによる製造ビジネス変革WG」が始動した。事実上、ドイツ政府が進める「インダストリー4.0」などに対する日本側の受け皿となる。