生体皮膚下3mmの血管を非侵襲で画像化できる光超音波顕微鏡を開発:医療機器ニュース
アドバンテストは、生体皮膚下3mmの血管を非侵襲で画像化できる光超音波顕微鏡「Hadatomo」を開発した。独自に開発したセンサーや電気回路により、皮膚への最大許容露光量を超えずに高速で測定できる。
アドバンテストは2015年10月1日、生体皮膚下3mmの血管を非侵襲で画像化できる、光超音波顕微鏡「Hadatomo」を開発したと発表した。
皮膚の移植や再生医療では、移植部位の血行の回復が重要とされる。しかし、現在の超音波診断装置(エコー)や顕微鏡などの光学イメージングでは、皮膚下の血管や深部のイメージングが難しく、治療によって血行が回復しても、その効果を非侵襲に評価することは困難だった。
今回開発された光超音波顕微鏡は、超音波の伝搬特性と光の吸収特性を併せ持つ、光超音波イメージングを用いている。生体内のヘモグロビンは、光のエネルギーを選択的に吸収して超音波を発生する。この超音波を超音波センサーによって生体表面で受信することで、高コントラストな血管像を取得可能にした。測定データは、専用ソフトウェアの独自アルゴリズムによって画像化され、準リアルタイムで2次元、3次元画像を構築するという。
さらに、同社が独自に開発したセンサーや電気回路により、皮膚への最大許容露光量を超えずに高速で測定できる。測定範囲は4×4×深さ3mmで、スキャン速度は最速20秒。サイズは幅約540×奥行き約545×高さ約1546mm、重量は110kg以下となっている。
測定時は、対象物に超音波ゼリーを塗布するだけで測定が可能。また、フレキシブルアームにより、測定対象のさまざまな部位を簡単に測定できる。
同社では今後、形成外科・皮膚科などの研究者と協力し、さまざまなモデルでの評価を行い、2015年10月以降にまずは日本で発売する予定だ。
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