日本語対応した「Fusion 360」――未来のモノづくりプラットフォームに:メカ設計インタビュー(2/2 ページ)
オートデスクは、クラウドベースの3次元CAD/CAM/CAEツール「Autodesk Fusion 360」の日本語対応を開始したことを発表した。今回のアップデートに関し、米Autodeskで製造業向け事業の戦略立案責任者を務めるスティーブ・フーパー氏に話を伺った。
旋盤加工をサポート
そして今回、CAM機能についても強化されている。これまでマシニング加工のみをサポートしていたが、新たに旋盤加工機能を追加。同時に、工具ライブラリの操作性を向上させ、旋盤工具をライブラリに加えた。
「Fusion 360の最大の特長は、1つのパッケージの中に、工業デザイン、機械設計、解析、機械加工、ビジュアライゼーションといったモノづくり全般にかかわる機能が盛り込まれている点にある。従来は、業種や工程ごとに使用するツールが異なっていたが、Fusion 360はこうした異なる業種/工程を気持ちよくつなげることができるツールである」とフーパー氏は説明する。
また、今回の新機能ではないが、製造という観点では、3Dプリンタとの連携も強化されている(2015年6月のアップデートに含まれていた内容)。Fusion 360で作成した3DモデルをSTL化し、そのままダイレクトに「Meshmixer」「Print Studio」「MakerBot」といったツール(3Dプリントユーティリティ)へ吐き出すことができるという。
使い勝手の向上やユーザー同士の交流の場も
ツールの使い勝手を向上させる取り組みとしては、キーボードのショートカット機能が新たに追加された。
「マウス操作による画面上のメニュー/オプション選択だけだと非効率なケースもある。今回モデリング操作を効率的に行えるよう幾つかの機能をキーボードのショートカットに割り当てた」(フーパー氏)。例えばスケッチを描く際、参照線に変更するオプションがショートカットキー1つで行えるようになったという。
さらに、Fusion 360はこれまで日本語での情報が少なかったが、今回新たにユーザー同士がWeb上で自由に情報交換できる「フォーラム」を日本語で開設した。
Fusion 360は未来のモノづくりのプラットフォームに
6週間から2カ月に1回程度のペースでアップデートが行われ、新しい機能が次々に追加されていくFusion 360。同社はFusion 360をどのように位置付け、発展させていくつもりなのだろうか。
「われわれは、新たな設計・製造方法の確立や消費者ニーズの多様化、購買行動の変化、革新的な製品の登場など、これまでのモノづくり、産業構造が大きく変化する中で、『The Future of Making Things 〜ものづくりの未来〜』という考えの下、Fusion 360を未来のモノづくりプラットフォームに据え、こうした大きな変化に率先して対応していきたいと考えている」とフーパー氏。
同社は、こうしたビジョンに向けてFusion 360のアップデートを進めていくという。
「The Future of Making Thingsの考えに基づく将来の構想は、何年もかけて進めていくものだ。現状は、とにかくFusion 360を多くのユーザーに気軽に使ってもらうことが重要だと考えている。これだけ豊富な機能を学生やスタートアップ企業(年間売上1200万円未満)であれば無償で使える。有償でも月々2970円(年間ライセンス3万5640円で購入の場合。なお月額ライセンスは4320円)と少額から利用できる。モノづくり全般で使える豊富な機能を1つのパッケージにし、無償提供するツールは他にないだろう」(フーパー氏)。
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