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自動車のコンセプトデザインは「Maya」から「Alias SpeedForm」へCADニュース(1/2 ページ)

オートデスクは、自動車のデザイン業務を支援する新たなアプリケーションと、既存アプリケーションの新バージョンを発表した。新製品の1つである「Alias SpeedForm」は、「Maya」と「Alias」が持つ“良さ”を取り入れた自動車デザイン向けコンセプトモデラーとして位置付けられている。

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 Autodesk(以下、オートデスク)は2015年4月13日、自動車のデザイン業務を支援する新たなアプリケーションと、自動車の意匠設計に広く用いられているサーフェスモデラー「Alias」およびビジュアライゼーション用ツール「VRED」の最新バージョンを発表。同年4月15日より提供を開始する。

 今回新たに提供されるアプリケーションは、自動車のコンセプトデザイン業務を支援する「Alias SpeedForm」と、デザインデータの管理・共有を行う「Studio Wall 2016」の2つ。これら2つの新製品と、機能強化がなされた既存アプリケーションの最新バージョンである「Alias 2016」および「VRED 2016」を活用することで、自動車デザイン業務のワークフロー全体をカバーできるという。

自動車デザイン向けコンセプトモデラー「Alias SpeedForm」

 Alias SpeedFormは、デザイナーが描いた自動車のコンセプトデザインのスケッチを取り込み、手を使って粘土で形作るかのような直感的な操作で3Dモデルを作成できるアプリケーションである。「従来、自動車のコンセプトデザイン業務では、3Dアニメーション向けアプリケーション『Maya』が使われているケースが多かった。しかし、Mayaの機能は3Dアニメ/CG向けのものが中心であるため、自動車業界に向けた新機能の追加がしづらい状況にあった。そこで、自動車デザインを効率的に支援するコンセプトモデラーとして、当社が買収したT-Splinesの曲面処理技術をベースにAlias SpeedFormを開発した」(同社)。

 Alias SpeedFormの最大の特長は、自動車デザインの業務ワークフローに特化しており、これまで紙でスケッチしていたデザイナーでも直感的かつ簡単にコンセプトモデリングができる点にあるという。「Alias SpeedFormは、Mayaのようにポリゴンだけを動かしながらデザインすることもできるし、Aliasのように曲線に沿ってT-Splinesの面を張っていくこともできる。両製品の良さを取り入れたアプリケーションといえる。3D空間上でオブジェクトのボリューム感や曲面同士の交わりなどをコンセプト設計の早期段階で把握できる点は、他のツールにはない大きなアドバンテージになるだろう」(同社)。

 なお、Alias SpeedFormは、2014年6月の段階では「Earl」という名前で開発が進められていた(関連記事:オートデスクが意匠設計ツールを刷新、初期デザイン意図を開発工程全体で生かす)。

自動車デザイン向けコンセプトモデラー「Alias SpeedForm」
自動車デザイン向けコンセプトモデラー「Alias SpeedForm」の画面イメージ(出典:オートデスク)

 Alias SpeedFormは、スケッチを取り込んで、「押し出し」「ブリッジ」「ミラー」という3つのコマンドだけでボリューム感の確認・検証ができるため、手描きからの移行に対する抵抗感を軽減できるという。「直観的な操作感を実現しているので、初めての方でも簡単なトレーニングを受ければ、2〜3時間で大まかな形をデザインできるようになる。Alias SpeedForm上でベースデザインが決まったら、そのまま、AliasやVREDをダイレクトに起動することもできるし、3Dプリンタや切削加工機にデータを渡すことも可能だ」(同社)。

 また、ベースデザインにディテールを追加していく意匠設計の作業も、従来のツールでは習得までに時間がかかり、高度なスキルも必要だったが、「Alias SpeedFormでは非常に簡単な操作だけで曲面に沿って流れるような美しいラインを引くことが可能だ」(同社)という。そのため、外装だけでなく、インテリアの意匠設計にも活用できるとしている。

 Alias SpeedFormのUIデザインは、同じくT-Splinesによるフリーフォームモデリング機能を実現する「Fusion 360」に近いイメージだが、日本語化されている点で大きく異なる。「Alias SpeedFormは、自動車デザインの業務ワークフローに特化した機能が盛り込まれた製品である。日本語化対応もそうだが、Fusion 360のようにクラウドベースではなくスタンドアロンで動作する点も自動車業界での利用を考えてのことだ。今後の機能開発の方向性も自動車業界向けのものが中心となる」(同社)。

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