「回転球殻」を持つドローンが登場、モノにぶつかりながら飛行可能:CEATEC 2015
政府主導の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」がCEATECで「回転球殻」を持つドローンのデモを行った。モノにぶつかりながらも飛行でき、陸地では転がって走行可能だ。
日本政府が主導する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」は、2015年10月6日、CEATEC JAPAN 2015(一般公開日:同年10月7〜10日)にて、老朽インフラの点検を行うドローンのデモを行った。現在は「橋梁の点検」を目標に、東北大学やリコーなどが中心となって研究開発を進められている。
このドローンは、普段は人間が足場を組み立て、目視で点検していた場所の点検作業を行う目的で開発された。特徴は「回転球殻」を装備している点で、建物と接触しても、ドローン自体に影響が出ないよう配慮されている。また、地上ではこの球殻を用いて走行することができ、省電力での移動が可能となっている。
ドローンは、プロペラを回した揚力で宙に浮くが、モノにぶつかって機体の姿勢が乱れると運行に支障が出るという課題があった。会場で技術解説を行った東北大学 大学院情報科学研究科 助教の岡田佳都氏は「回転球殻の装備はモノにぶつかりながらでも飛行するための1つの解決策だと考えている。現在は橋梁を対象に研究を進めているが、他の建造物でも対応できるだろう」という。また、点検の際に足場を組み立てるコストや時間の削減にも大きく貢献しているという。
現在はこのドローンと合わせ、映像と通信を中継する磁力での吸着機構を持ったドローンを組み合わせて実証実験を行っている。最終目標は、現在、点検員によって行われている目視点検をドローンに代替することだ。
これらの研究開発はSIPが設定する10の課題のうち、「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」というプログラム下で推進されている。同プログラムの目標は、インフラ高齢化による事故を予防すべく、低コストでのインフラマネジメントを構築すること。このようなドローン技術も、低コストで点検などが行えることから、主な開発項目に組み込まれている。
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