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診療記録からIoTデータ連携のハブへと進化する電子カルテ医療機器開発者のための医療IT入門(3)(3/3 ページ)

医療機器開発者向けに、医療情報システムに代表される医療ITの歴史的背景や仕組みを概説する本連載。第3回は、診療プロセスの中核を担う電子カルテシステムを取り上げる。

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電子カルテと医療機器のユーザビリティ標準化で先行する米国

 米国と比較して日本が大きく出遅れているのは、電子カルテのユーザビリティ標準化だ。

 米国では、国立標準研究所(NIST)が、「電子健康記録のユーザビリティ改善のためのプロセスアプローチ向けNISTガイド」(2010年11月)(関連資料、PDFファイル)、「電子健康記録のユーザビリティに関する技術評価、テスティング、検証」(2012年2月)(関連資料、PDFファイル)、「電子健康記録の臨床ワークフローへの統合:ヒューマンファクターモデリング手法の救急医療への適用」(2014年3月)(関連資料、PDFファイル)、「ヘルスITのユーザーインタフェース設計のための技術的基盤」(2015年9月)(関連資料、PDFファイル)など、さまざまなガイドラインを策定・公開し、ユーザーエクスペリエンス(UX)/ユーザーインタフェース(UI)標準化活動を積極的に行っている。

 加えて医療機器の分野では、米国食品医薬品局(FDA)が、ユーザビリティエンジニアリングやヒューマンファクターアプローチを適用した設計標準化活動を推進している(関連資料)。米国の電子カルテの場合、ワークフロー機能によって標準的な診療プロセスが可視化されており、それを参照しながら、医療機器と電子カルテの連携をデザインすることもできる。

 これに対して日本の場合、電子カルテも医療機器も、ユーザビリティの標準化が出遅れている。診断系医療機器のコモディティ化が進み、付加価値の高い治療系機器への注目が集まる中、医療データのハブ的役割を担う電子カルテシステムとの連携は、避けて通れない道となっている。特に、モノのインターネット(IoT)が普及し、現場の医療機器が電子カルテとつながる入出力デバイス機能を兼ね備えるようになると、マルチデバイスレベルで標準化されたUX/UIは大きな武器となる。医療機器を開発していく上で極めて重要な要素になるのは確実だ。

筆者プロフィール

笹原英司(ささはら えいじ)(NPO法人ヘルスケアクラウド研究会・理事)

宮崎県出身。千葉大学大学院医学薬学府博士課程修了(医薬学博士)。デジタルマーケティング全般(B2B/B2C)および健康医療/介護福祉/ライフサイエンス業界のガバナンス/リスク/コンプライアンス関連調査研究/コンサルティング実績を有し、クラウドセキュリティアライアンス、在日米国商工会議所等でビッグデータのセキュリティに関する啓発活動を行っている。

Twitter:https://twitter.com/esasahara

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