4代目「プリウス」の電池はニッケル水素を継続採用、欧州燃費は18%向上:フランクフルトモーターショー2015
トヨタ自動車は、「フランクフルトモーターショー2015」において、4代目となる新型「プリウス」を公開した。新開発のハイブリッドシステムの電池パックは、改良したニッケル水素電池を採用することが明らかになった。そして欧州燃費は従来比で18%向上するという。
トヨタ自動車は2015年9月15日(欧州時間)、「フランクフルトモーターショー2015」(一般公開日:9月17〜27日)において、4代目となる新型「プリウス」を公開した。同年9月8日(米国時間)に開催した初披露イベントに続くもので、一般公開は初となる。
米国での初披露では刷新した外観が中心になっていた。フランクフルトモーターショー2015では、機能面についてより詳細な情報が明かされている。
まずは、車両のモジュール化などによって部品の共通化を進める「Toyota New Global Architecture(TNGA)」の採用によって、従来よりも燃費を15%以上向上する効果が期待されている新開発のハイブリッドシステムだ。コンパクトなパッケージングにより、軽量化とコスト低減を実現しているという。モーターはより小型になったものの、加速性能を示すPower-to-Weight Ratioは向上した。ガソリンエンジンの熱効率は、現行の3代目プリウスが38.5%のところを、40%以上まで高めている。
そして電池パックは、エネルギー密度を高めて小型化したニッケル水素電池を採用することが明らかになった。耐久性や充電速度も向上しているという。
そしてこの新開発ハイブリッドシステムを搭載する4代目「プリウス」の欧州燃費(NEDC:New European Cycle)は、従来比で18%の向上が期待できるとしている。3代目プリウスが3.9l(リットル)/100kmなので、18%向上すると3.3l/kmになる計算だ。なお、米国での発表では、従来比で10%向上するとしていた。
ダブルウィッシュボーン式のリヤサスは衝撃を3分の1に低減
4代目プリウスで初採用になるダブルウィッシュボーン式のリヤサスペンションについても言及があった。
専用開発したこのリヤサスペンションの効果により、トーションバー式リヤサスペンションの3代目プリウスと比べて、起伏の多い道路から加わる衝撃の大きさを3分の1に低減できるという。
またフロントのマクファーソンストラット式サスペンションも改良を加えており、ダンパーの傾斜角を増やし、スラントベアリングを採用した。
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