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3代目「プリウス」、ハイブリッドシステムのコストを2/3に削減(1/2 ページ)

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 トヨタ自動車は2009年5月、ハイブリッド車「プリウス」の3代目モデルを発売した(写真1)。同モデルのハイブリッドシステムには、2003年に発売された2代目プリウスの「THS(Toyota Hybrid System) II」に対して90%以上の部分を新開発した「リダクション機構付のTHS II」を採用した。燃費は、車体の空力性能の向上などの効果もあり、10・15モードで38.0km/l(リットル)を達成した。販売価格は、「プリウスL」の205万円から、「同G ツーリングセレクションレザーパッケージ」の327万円まで幅広く設定。月間販売目標台数は1万台だが、発売前の時点ですでに8万台以上を受注している。


写真13代目「プリウス」とトヨタ自動車の豊田章男氏
写真1 3代目「プリウス」とトヨタ自動車の豊田章男氏 

 同社副社長の豊田章男氏は記者発表会において、「3代目プリウスは、より多くの顧客が買いたいと思えるよう、205万円からという価格に設定した。また、レクサス店を除くすべてのトヨタの販売チャンネル、全4900店舗で購入できるようにした。今回、扱う店舗を増やしたのは、単にハイブリッド車の普及拡大を進めたいということではない。アフターサービスを含めたハイブリッド車のインフラ整備が全店舗で完了し、どこでも安心してハイブリッド車を購入してもらえるようになったことを意味する」と語った。また、ハイブリッド車の海外展開については、「3代目プリウスの発売を契機に、現在の40数カ国から80カ国にまで販売網を拡大する。そして、2009年度末までにグローバルで、3代目プリウスを30万〜40万台、トヨタのハイブリッド車全体で50〜60万台を販売したい」と意気込んだ。

高速燃費と走行性能を向上

写真23代目プリウスのパワートレイン
写真2 3代目プリウスのパワートレイン 左側が排気量1.8lのエンジン「2ZR-FXE」、右側がリダクションギヤを採用したトランスミッションである。

 3代目プリウスのハイブリッドシステムは、排気量1.8l/直列4気筒のエンジン「2ZR-FXE」、リダクションギヤを採用したトランスミッション、ニッケル水素電池を用いた2次電池ユニット、2次電池ユニットからの直流電流を昇圧し、モーターを駆動するために交流電流に変換したりするパワーコントロールユニット(PCU)で構成されている(写真2)。

 トヨタ自動車は、3代目プリウスの205万円という販売価格を実現するために、これらのハイブリッドシステムのコスト削減に注力した。同社によれば、「2代目プリウスの2/3までコストを削減するという目標を立て、ほぼこの数字を実現することができた」という。

 新開発のエンジンである2ZR-FXEは、排気量1.5l/直列4気筒だった2代目プリウスの「1NZ-FXE」と比べて排気量は増えたが、高速走行時における燃費改善に貢献している。

 ガソリン車は、一般的にエンジンの排気量が増えると燃費が悪くなると言われている。これは、排気量が増えることで、アイドリングや低速走行時のエンジン効率が悪化し、その分、燃費性能が低下するためである。それに対し、ハイブリッド車は、アイドリング時や低速走行時はモーターを使用するので、排気量の増加による燃費低下は起こりにくい。さらに、高速走行時にエンジンの回転数を低く抑えることができるので、高速走行時の燃費が向上する。そして、ガソリン車の場合と同様に、排気量の増加による走行性能の向上というメリットも得られる。

 また、エンジンの熱管理を効率化するために、「クールEGR(排気再循環)システム」、電動ウォータポンプ、排気熱再循環システムを採用した。

 クールEGRシステムは、排気ガスをクーラーで冷却してから吸気経路に再循環させることにより、ポンピング損失やエンジン冷却損失を低減する。電動ウォータポンプは、2代目プリウスではベルトで駆動していたエンジン冷却水用のウォータポンプを電動化したものである。電動化することによって、必要なときに必要な量だけ冷却水を供給することで動作の無駄を省くととともに、ベルト駆動部のメンテナンスが不要になる。排気熱再循環システムは、従来は捨てていた排気熱をエンジン冷却水に再循環することで、ヒーターやエンジンの暖気性能を向上して冬季の燃費性能を高める。

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