インダストリー4.0とインダストリアルインターネットの“共演”が実現か:FAニュース
ドイツのハノーバーで開催される世界最大の産業見本市である「ハノーバーメッセ」。ドイツ連邦政府が進める「インダストリー4.0」の進捗の場としても注目を集めるハノーバーメッセだが、2016年はパートナーカントリーに米国を迎える。
日本能率協会は2015年9月9日、ドイツのドイツメッセがハノーバーで開催している「ハノーバーメッセ」についての記者会見を開催した。日本能率協会は2015年4月からドイツメッセの日本におけるセールスパートナーとなり、ハノーバーメッセへの日本企業の出展や来場に向けた活動を展開している。
ハノーバーメッセは、世界最大規模の産業機器の見本市だ。産業オートメーションやスマートグリッドなどのエネルギー関連機器などが出展の中心で約100カ国・地域から5000社以上が出展し、製造業やエネルギー産業などから20万人が来場する。会期中の商談件数は550万件にのぼるという。
インダストリー4.0のホットスポット
ハノーバーメッセが大きな注目を集めているのが、ドイツ連邦政府が推進するモノづくり革新プロジェクト「インダストリー4.0※1)」の進捗確認の場となっているためだ。自律した工場・製造業を目指すインダストリー4.0は、2011年のハノーバーメッセで、コンセプトが発表された。その後、ハノーバーメッセではインダストリー4.0に関する研究・開発の成果が多くの企業や団体から発表される場となり、ドイツ首相のアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)氏が毎年視察に訪れている(ハノーバーメッセ特集)。
※1)関連記事:ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?
2016年のハノーバーメッセは4月25日〜29日開催。メインテーマを「Integrated Industiry(産業システムの統合化)」と置き、インダストリー4.0の進捗状況などを紹介するとともに、スマートグリッドなどエネルギー産業の新たなバリューチェーンなどにもついても出展が集まる計画だ。ドイツメッセでハノーバーメッセ担当上級副社長を務めるマルク・ジーマリング(Marc Siemering)氏は「ハノーバーメッセはインダストリー4.0に関するホットスポットの1つだといえる。2016年も100以上の応用例が出展される見込みだ」と述べている。
またハノーバーメッセでは毎年、パートナーカントリーを決め積極的に同国企業の出展や経済交流などを図るが、2016年のパートナーカントリーは米国となる。ドイツのインダストリー4.0と同じく米国でもさまざまな製造業革新の取り組みが進んでおり、そのうちの1つである「インダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)」は、参加企業を大きく増やしつつある。「既に2016年はIICを招き、ドイツ側との討論会やセミナーを開催する計画だ。また関連する出展企業も多くなる」とジーマリング氏は語っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- インダストリー4.0が目指す“一段上”の自動化
ハノーバーメッセ2015のメインテーマとなった「インダストリー4.0」。製造業にとって魅力的なビジョンである一方で、具体的な姿をどう捉えるかで多くの企業が迷いを見せているのが現状だ。本連載では、現地での取材を通じて、インダストリー4.0に関する各社の動きを3回にわたってお伝えする。 - インダストリー4.0は人間の仕事を奪うのか
ハノーバーメッセ2015のメインテーマとなった「インダストリー4.0」。本連載では、現地での取材を通じて、インダストリー4.0に関する各社の動きを3回にわたってお伝えしている。中編の今回は「ロボットと人間との協調」への取り組みの紹介と、人間の果たすべき役割の変化について考察する。 - インダストリー4.0に対し日本企業が取り組むべきこと
ハノーバーメッセ2015のメインテーマとなった「インダストリー4.0」だが、本連載では、現地での取材を通じて、インダストリー4.0に関する動きを3回にわたってお伝えしている。後編の今回は、ドイツのインダストリー4.0に対し、日本企業が取り組むべきことについて考えてみたい。 - インダストリー4.0で日独の協力関係はあり得るのか(前編)
ハノーバーメッセ2015において第9回となる日独経済フォーラムが開催された。毎年両国のさまざまな経済トピックがテーマとされているが今回は「インダストリー4.0」がテーマとされた。 - ハノーバーメッセ2015特集