フォルクスワーゲンとBMWがプラグインハイブリッド車を同日発表、日本車と比較:電気自動車(3/3 ページ)
2015年9月8日、フォルクスワーゲンとBMWがプラグインハイブリッド車の国内投入を発表した。今回発表された「ゴルフGTE」と「X5 xDrive40e」を、「アウトランダーPHEV」「プリウスPHV」「アコード プラグインハイブリッド」という国内自動車メーカーのプラグインハイブリッド車と比較した。
「アウトランダーPHEV」「プリウスPHV」「アコード プラグインハイブリッド」と比較
これまで海外自動車メーカーのプラグインハイブリッド車は、先述のi8やPorsche(ポルシェ)の「パナメーラS e-ハイブリッド」、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)の「S550 プラグインハイブリッド ロング」など全て1000万円以上の車両だった。
これに対して、国内自動車メーカーのプラグインハイブリッド車は、三菱自動車の「アウトランダーPHEV」、トヨタ自動車の「プリウスPHV」、ホンダの「アコード プラグイン ハイブリッド」など500万円以下だった。今回発表された、1000万円以下のゴルフGTEとX5 xDrive40eの登場によって、比較する意味が出てきたと言っていいだろう。
表1に、ゴルフGTE、X5 xDrive40e、アウトランダーPHEV、プリウスPHV、アコードPHEVの各車両について、外形寸法(全長×全幅×全高)、車両重量、エンジン性能(最高出力/最大トルク)、モーター性能(最高出力/最大トルク)、電池容量、EV走行距離、電力消費率(国土交通省審査)、ハイブリッド燃費(JC08モード)、電力量消費量(国土交通省審査)、税込み価格、日本政府から得られる補助金額を示している。なおX5 xDrive40eについては、電力消費率やハイブリッド燃費はまだ発表されていない。
車両名 | ゴルフGTE | X5 xDrive40e | アウトランダーPHEV | プリウスPHV | アコードPHEV |
---|---|---|---|---|---|
外形寸法 | 4265×1800×1480 | 4910×1940×1760 | 4695×1800×1710 | 4480×1745×1490 | 4915×1850×1465 |
車両重量 | 1580kg | 2370kg | 1820〜1880kg | 1410〜1420kg | 1740kg |
エンジン性能 | 110kW/280Nm | 180kW/350Nm | 87kW/186Nm | 73kW/142Nm | 105kW/165Nm |
モーター性能 | 80kW/330Nm | 83kW/250Nm | 前:60kW/137Nm、後:60kW/195Nm | 60kW/207Nm | 124kW/307Nm |
電池容量 | 8.7kWh | 9.0kWh | 12kWh | 4.4kWh | 6.7kWh |
EV走行距離 | 53.1km | 31km | 60.8km | 26.4km | 37.6km |
電力消費率 | 6.9km/kWh | − | 5.96km/kWh | 8.74km/kWh | 9.26km/kWh |
ハイブリッド燃費 | 23.8km/l | − | 20.2km/l | 31.6km/l | 29.0km/l |
税込み価格 | 499万円 | 927万〜993万円 | 359万6400〜459万円 | 294万5314〜321万429円 | 514万2857円 |
補助金 | 38万円 | 30万〜34万円 | 29万円 | 12万円 | 41万円 |
表1 プラグインハイブリッド車の比較 |
外形寸法で見てみると、今回取り上げたプラグインハイブリッド車の中に全幅が1700mm未満の車両はない。ただし、ゴルフGTEの全長4265mmは、プリウスPHVと比べても短く、取り回しは良さそうだ。
エンジンについては、ゴルフGTEとX5 xDrive40eのドイツ勢がターボエンジン、アウトランダーPHEV、プリウスPHV、アコードPHEVの日本勢が自然吸気エンジンで分かれた。このため、エンジン単体の性能ではドイツ勢が圧倒している。
アコードPHEVと、車両の前後に2個の走行モーターを搭載するアウトランダーPHEVはモーターを積極的に活用するシステム設計になっており、エンジンは電力が不足する際の発電機などモーターを支える役割になっている。プリウスPHVについては、ベース車の「プリウス」のハイブリッドシステムを流用しているので、性能仕様はプリウスと同じである。
電池容量は12kWhのアウトランダーPHEVがトップで、その後にX5 xDrive40e、ゴルフGTEとドイツ勢が続く。電池容量に比例すると言われるEV走行距離は、やはりアウトランダーPHEVが60.8kmとトップだが、車両重量が軽いゴルフGTEが53.1kmで続く。車両重量が2トンを超えるX5 xDrive40eは31kmにとどまる。EV走行距離が30km未満なのはプリウスPHVだけだ。
電力消費率とハイブリッド燃費は、ハイブリッド車開発で先行してきたトヨタ自動車のプリウスPHVが31.6km/l、ホンダのアコードPHEVが29.0km/lで他の車両に差を付けた。
税込み価格から補助金を差し引いた実質購入可能価格は、プリウスPHVが唯一300万円以下になっている。次がアウトランダーPHEVで約330万円から、ゴルフGTEが461万円、アコードPHEVが約473万円。高級車の位置付けになるX5 xDrive40eも補助金込みだと897万円で900万円以下になる。
アウトランダーPHEVは、EV走行距離の長さや四輪駆動システムの搭載など、プラグインハイブリッド車としての機能が充実した上で、ゴルフGTEやアコード プラグイン ハイブリッドよりも100万円以上安価だ。ゴルフGTEは、プラグインハイブリッド車としての性能は申し分ないが、Cセグメント車として見ると幾分高価だ。
同じCセグメント車のプリウスPHVは、安価ではあるもののEV走行距離に代表されるように、プラグインハイブリッド車としての機能が不足している。ただし、間もなくフルモデルチェンジされるプリウスに合わせた改良が見込まれており、その際には大幅な性能向上が期待できそうだ。
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