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BMWが将来技術を一挙公開、「Innovation Days 2014」に迫るBMW Innovation Days 2014リポート(1/3 ページ)

BMWが将来技術を一挙に公開する「Innovation Days 2014」が開催された。今回は、「iシリーズ」に代表される電動化技術を「X5」に適用したPHEVコンセプトモデル「X5 eドライブ」をはじめ、ダウンサイジングと部品共用化を進めた新エンジンシリーズ、LEDヘッドランプよりも明るい「レーザーライト」、高速道路での追い越しを楽に行える自動運転技術などが披露された。

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「X5 eドライブ」

 例年2月、BMWが将来技術を一挙に公開する「Innovation Days」が2014年も開催された。前回の主役は新しい3気筒エンジンだったが、今回の目玉はなんといっても電動化だ。

 BMWの電動化技術と言えば、同社初の電気自動車(EV)である「i3」と、スーパースポーツカーを標榜するプラグインハイブリッド車(PHEV)「i8」に代表される「iシリーズ」になるだろう。i3が2014年春に日本に上陸することもあって注目が集まっている。



外観がカモフラージュされた「X5 eドライブ」のプロトタイプ
外観がカモフラージュされた「X5 eドライブ」のプロトタイプ(クリックで拡大) 出典:BMW

 しかし、このiシリーズ以外のラインアップに電動化技術を展開する方針についても、今回のInnovation Daysにおける重要な発表の1つになっている。会場には、2013年9月の「フランクフルトモーターショー2013」でiシリーズの影に隠れて地味に発表されていた、新型「X5」のPHEVコンセプトモデル「X5 eドライブ」のプロトタイプが持ち込まれていた。

 南フランスのマルセイユから50kmほど離れたミラマという街にあるBMWのテストコースで、外観がカモフラージュされたX5 eドライブの運転席に乗り込む。モーターだけで走るEV走行が可能な「MAX eモード」を選択してアクセルを踏むと、スーっと音もなく走り始める。最高時速は120kmとなっている。ミラマの一般道を模したテストコースでは、モーターだけで走っていても特に遅いとは感じない。むしろ、低速からのトルクの立ち上がりが鋭く、レスポンスの高さと相まって運転していて楽しかった。ただし、「MAX eモード」のさなかでも、キックダウンするとガソリンエンジンがアクティブになる。

 この他、ガソリンエンジンだけで走行する「セーブ・バッテリー・モード」と、走行状況に応じてモーターとエンジンの出力を組み合わせて走る「ノーマル・モード」を、ドライバーが選択できる。ノーマル・モードは、さらに3つの走行モードに分かれている。可能な限りモーターを使用して燃料消費を最小限に抑える「ECO PRO」、燃費と走行性能をバランスさせて快適な走行を行う「コンフォート」、走行性能を再優先にガソリンエンジンとモーターを活用してスポーティな走りが楽しめる「スポーツ」から、好みの走行モードを選択できるのだ。

テストコースを走る「X5 eドライブ」(クリックで拡大) 出典:BMW

 ノーマル・モード+コンフォートという一般道で活用されるであろうセッティングでは、モーターでの走行やエンジンとの強調など違和感を感じるシーンはなかった。高速巡航中に不要な燃料噴射を避けるコースティングモードは時速160kmまで対応可能だ。

 最もスポーティな設定、つまりノーマル・モード+スポーツを選択して、アクセルペダルを踏み込む。その瞬間、鋭い加速で身体がシートに押し付けられる。時速0〜100kmまでの加速時間で7秒以下をうたうだけのことはある。最高出力70kW/最大トルク250Nmを生むモーターをZF製の8段変速自動変速機(AT)に組み込み、最高出力180kW/最大トルク350Nmの排気量2l(リットル)の直列4気筒エンジンを組み合わせた結果、システム出力は225kWを発揮する。駆動方式は4WDである。

「X5 eドライブ」のエンジンルーム(左)と車両前方側面に設置されている充電コネクタ(クリックで拡大) 出典:BMW

 コーナーリング時にはリチウムイオン電池パックを搭載したことによる重量増加が不利になると想像したが、後輪の車軸上、低めの位置に搭載することにより、その影響が少なくなるように工夫したという。ただし、ベースとなるX5自体が重量級であるため、重量増加による走行性能への影響はあまり感じなかった。

 搭載されるリチウムイオン電池セルは、iシリーズと同じSB LiMotive製で、BMWがモジュール化したもの。電池パックの制御と冷却システムも、同じくiシリーズのノウハウを生かして開発されている。ただし、後席後方の荷室の下側に電池パックを搭載する格好になるので、ノーマルのX5より荷室の床高さが1.5cm高くなっている。荷室の床部後方には、充電ケーブルなどを入れるためのスペースが確保されている。

 1回の充電で最大30kmまでのEV走行が可能だが、今後さらにブレーキエネルギーの回生などを高効率化させることにより、EV走行の距離を70〜80kmまで伸ばしたい考え。現段階でEV走行距離を30kmに設定した理由は、「X5のオーナーの80%が1日30km以下しか走らない」というBMW自身の調査結果があったからだ。

 気になる燃料消費量は、動力性能が同等の「X5 xドライブ35i」と比べて55%少ない、100km当たり3.8l(=26.3km/l)。89g/kmというCO2排出量は、トヨタ自動車の「プリウス」と並ぶ。この大きさのSUVであっても、電動化によって、2020年頃に施行されると目される95g/kmというEUの二酸化炭素排出量制限の規制値をクリアすることができるわけだ。

「X5 eドライブ」と他のパワートレインを搭載する「X5」のシステム最高出力と燃料消費量の比較
「X5 eドライブ」と他のパワートレインを搭載する「X5」のシステム最高出力と燃料消費量の比較。動力性能が同等の「X5 xドライブ35i」と比べて、燃料消費量は55%少ない(クリックで拡大) 出典:BMW

 プロトタイプの現段階ではドライバーの意思でモードを選択しているが、将来的にはカーナビゲーションに目的地を設定すると、選択した走行ルートに合わせて最適な走行モードをどこでどのように選択するかを計算する。その結果をドライバーに知らせたり、車両側で自動的に切り替えたりといった機能の追加も視野に入れて研究開発が進められている。この「X5」のPHEVバージョンは、2015年半ばには発売される予定だ。

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