BMWの「i3」は電気自動車だからエコってわけじゃない、作り方までエコだった!:今井優杏のエコカー☆進化論(7)(1/3 ページ)
自動車ジャーナリストの今井優杏さんが、独自の切り口で最新のエコカーや搭載技術を紹介する本連載。今回は、BMWが「サステイナビリティ(持続可能性)」という言葉を掲げて開発を進めてきた電気自動車(EV)「i3」とプラグインハイブリッド車「i8」について、製造面での取り組みを紹介する。
さて、2014年になりました。今年は午(うま)年ですね! 日頃から自動車に関わる仕事をしている私ですから、ウマと聞けば「人馬一体」とか「跳ね馬」とか「スクーデリア」とか……いやに話がイタリア方向に向き気味でなんともはや短絡的思考ではあるんですけども(恥)、やっぱ馬力という言葉にも表現される通り、今年もガッツリ根性据えて地を蹴って進んでいきたいと思う次第です。
エコカーもどんどん進化します。どうぞ本連載へのご支援もよろしくお願いしますね☆
「BMW iシリーズ」は壮大なプロジェクトの一部
さて新年1発目は、2013年11月に開催された「東京モーターショー2014」で公開されたBMWの電気自動車「i3」とプラグインハイブリッド車「i8」、「BMW iシリーズ」の市販化に関する秘密にクローズアップしてみたいと思います。
2013年最後の記事の締めくくりに記した、「実はBMW iシリーズ、単に走行性能の素晴らしい電気自動車やプラグインハイブリッド車というだけでなく、壮大なプロジェクトの一部でもあるのです」という一文に切り込んでみましょう。
環境技術に意識の高いMONOistをご覧の皆さんは、燃費を伸ばすために必要な技術の中でも、大きなウェイトを占めるのが「軽量化」であるということはご存じだと思います。また、クルマのパフォーマンスを最大限に引き出すのにもまた「軽量化」が大きなカギを握っているということをご存じの方も多いでしょう。
分かりやすい例としては自転車があります。
同じ自転車でも荷台に体重の重い友人を乗せていれば、自分がいくら漕いでも前に進むのは困難です。逆に自分1人ならスイスイ進むことができるでしょう。さらにその自分が痩せていたり、自転車本体が軽かったりすればもっとスイスイですよね。
ですから、コンマ1秒以下のタイム差でスピードを競うモータースポーツ、特に近年エンジンがダウンサイジング化しているにも関わらず最高のパフォーマンスを出さなければいけないF1はもちろんのこと、日本国内のモータースポーツ、例えばスーパーGTなどでも、ボディの材料として、強度はあるけれども重い、一般車にも採用されている金属板ではなく、強度と軽量化を両立できるカーボンファイバー強化プラスチック(CFRP=炭素繊維と合成樹脂の複合材)が多用されています(モータースポーツの話をする際に欠かせない、エアロダイナミクス=空力性能については論点がずれるのでここでは割愛します)。
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