なぜIoTなのか、トヨタ生産方式の課題から考える:トヨタ生産方式で考えるIoT活用(1)(5/5 ページ)
日本型モノづくりの象徴ともいうべき「トヨタ生産方式」。日本的な“人の力”に頼った手法に見られがちですが、実はトヨタ生産方式にもIoT(Internet of Things、モノのインターネット)は適用可能です。本連載では多くの製造業が取り入れるトヨタ生産方式の利点を生かしつつ、IoTを活用してモノづくりを強化するポイントについて解説します。
IoTの活用で品質の確保と適正コストの実現へ
素材はますます少量になり、工法の難易度は上昇し、部品の大型化により工場内のスペースも限られる。さらに設備老朽化により安定稼働が難しく、金型点数が多くなりメンテナンスタイミングの管理が複雑化している現在のような状況だからこそ、IoTを活用して問題カ所の特定や異常検知の迅速化、さらには専門スタッフによる早期解決を図ることがモノづくりを進化するための有効手段になるのではないでしょうか。
そこで蓄えた改善ノウハウを予防に生かすことができれば、真のグローバルでの安定した品質の確保と適正コストを実現する次世代のものづくりが実現できるのではないでしょうか。
過去にも製造現場では機械からのデータ収集やデータ加工の取り組みは行っておりました。しかしPLC(プログラマブルロジックコントローラー)経由での専用プログラムを記述した対象設備固有の対応により、実現には非常に高額な投資と専門スキルを持ったスタッフが必要でした。
しかし現在は画像センサーなどを筆頭に、製造現場で活用できるセンサー類の低価格が進み、高機能なハードウェアやデータ収集の仕組みが従来より手軽に入手できるようになりました。そのためIoTにはローコストな生産工程のオートメーション化の実現に期待が集まっています。
次回からは上記の課題解決を図るための具体的なIoTの活用ポイントについて、「設備保全」「品質保証」「原価管理」の観点から解説していきます。
筆者紹介
株式会社アムイ 代表取締役
山田 浩貢(やまだ ひろつぐ)
NTTデータ東海にて1990年代前半より製造業における生産管理パッケージシステムの企画開発・ユーザー適用および大手自動車部品メーカーを中心とした生産系業務改革、
原価企画・原価管理システム構築のプロジェクトマネージメントに従事。2013年に株式会社アムイを設立し大手から中堅中小製造業の業務改革、業務改善に伴うIT推進コンサルティングを手掛けている。「現場目線でのものづくり強化と経営効率向上にITを生かす」活動を展開中。
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