車載タッチパネルの主流は静電容量方式へ、パナソニックが曲面を実現:車載電子部品(2/2 ページ)
パナソニックが、カーナビやディスプレイオーディオの操作を行うタッチパネルインタフェース部品として「静電容量方式 曲面タッチパネル」の量産を始める。抵抗膜方式を置き換える形で、徐々に浸透し始めていた静電容量方式の車載タッチパネルだが、曲面の実現によってさらに採用が加速しそうだ。
樹脂製カバーパネルで曲面と穴あき成形を実現
今回、パナソニックが発表した静電容量方式の車載タッチパネルは、大まかに分けて4つの特徴がある。1つ目は、樹脂製カバーパネルとフィルムセンサーを一体にした曲面タッチパネルである点だ。タッチパネルを平面でなく曲面にできれば、内装の意匠設計に取り込まれることの多い曲面と併せ込むことができ、先述したデザイン面の優位性をさらに高められる。そこで同社は、樹脂製カバーパネルを高精度に形成できる「射出圧縮成形技術」と「ヒート&クール成形プロセス技術」を開発し、従来のガラス製カバーパネルでは難しい曲面デザインを実現した。
2つ目の特徴は、樹脂製カバーパネルの製造技術で同時に実現した穴あき成形だ。カーナビやディスプレイオーディオは、タッチパネルの周辺部にさまざまなスイッチが設置されていることが多い。従来のガラス製カバーパネルのタッチパネルは、スイッチのためにあらかじめ穴をあけておくことは難しかった。樹脂製カバーパネルの穴あき形状に合わせて、フィルムセンサーにも穴をあけておけるので、スイッチの実装が容易になる。
3つ目は、フィルムセンサーの感度を高めたことだ。一般的に、樹脂製カバーパネルは曲面加工に有利なものの、タッチパネルの感度が低下するという課題がある。この課題を解決するため、独自の電極パターン設計とセンシング制御技術を融合して高感度のフィルムセンサーを開発した。手袋装着時のタッチ操作にも対応する。マルチタッチに対応する制御ICを使えば、ジェスチャ機能も搭載できるという。
4つ目は、車載ディスプレイに求められる視認性と信頼性の確保だ。フィルムセンサーの上下電極間、樹脂カバーパネルとフィルムセンサー間で、OCA(Optical Clear Adhesive)という透明な粘着剤を用いた気泡レスの貼り合わせを行い、高透過、低反射による高い視認性を実現している。透過率は88〜90%、反射率(550nm波長)は6%である(両方とも定格値)。信頼性も、耐湿、耐熱、耐寒、耐熱衝撃で基準を満たしている。
この他、位置精度はプラスマイナス2mm、絶縁抵抗値は10MΩ以上、対応サイズは5〜12インチとなっている。
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