樹脂カバー越しでも高感度で操作できるタッチパネル、曲面形状も可能:高機能フィルム展
凸版印刷は、「第6回 高機能フィルム展」において、静電容量方式のタッチパネルを用いた車載機器の開発に最適な「3D銅タッチパネルモジュール」を展示した。樹脂カバー越しでも高感度で操作できることを最大の特徴とする。
凸版印刷は、「第6回 高機能フィルム展」(2015年4月8〜10日、東京ビッグサイト)において、静電容量方式のタッチパネルを用いた車載機器の開発に最適な「3D銅タッチパネルモジュール」を展示した。
スマートフォンで一躍メジャー化した静電容量方式のタッチパネルだが、その電極材料としては透明の金属膜を成膜できるITO(酸化インジウムスズ)が一般的だ。これに対して同社は、ITOよりも低抵抗の銅を電極材料に用いることによる高い感度を特徴とする「銅タッチパネルモジュール」を展開してきた。
今回の3D銅タッチパネルモジュールは、主に民生用機器向けだった銅タッチパネルモジュール技術を車載機器に展開するために開発したものだ。
最大の特徴は、タッチパネル表面を樹脂カバーと一体化している場合でも、樹脂カバー越しに高い感度でマルチタッチ操作を行えることだ。カーナビゲーションシステムのような車載情報機器に用いる樹脂板の厚みは約2mm。樹脂カバーもこれと同じ厚みになるが、静電容量方式タッチパネルの電極材料がITOだと、感度が十分でないため操作性が低下する。一方、3D銅タッチパネルモジュールの場合、表面抵抗率が0.01Ω/sqと低いので、樹脂カバー越しでも十分な感度が得られる。
この特徴は、単に樹脂カバー越しで操作できることにとどまらないメリットがある。まず、車載情報機器のハウジングとなる樹脂板やタッチパネル表面の樹脂カバーと一体成形できる。これによって製造プロセスが簡略化されコスト削減にもつなげられる。そして、タッチパネル周辺に設置されるスイッチやボタンも3D銅タッチパネルモジュールで操作する方式にすれば、それらの一体成形も可能になる。
さらに、樹脂との一体成形によって、名称の“3D”が意味する3D曲面化も可能になる。樹脂カバーの曲率半径は、短辺方向でR1500、長辺方向もR60まで可能だという。
2015年7月からサンプル出荷を始めるが「量産採用は早くても2017年以降になる」(同社の説明員)という。同じ技術はタッチパッドにも適用可能なため、車載向けよりも先に採用される可能性がある。
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