「ベゼルレス」カーナビが可能に、パナソニックが新型タッチパネルを投入:加飾フィルムを一体化
カーナビやカーオーディオなどの車載情報機器でも、スマートフォンやタブレットPCのような、タッチパネル本体と額縁部の間で段差のない「ベゼルレス」に対する需要が高まっている。パナソニックが開発した加飾フィルム一体化タッチパネルを使えば、ベゼルレスの車載情報機器を容易に実現できる。
パナソニック デバイス社は2012年4月6日、カーナビゲーションシステムやカーオーディオなどの車載情報機器向けに、加飾フィルムを一体化したフラットタイプの抵抗膜方式タッチパネル「EMU601GDタイプ」を開発したと発表した。パネルサイズは5〜10インチ。2012年4月から、7インチのパネルサイズで換算して1カ月当たり2万枚の規模で量産を開始する。サンプル価格は、仕様や数量に合わせて個別対応となっている。
加飾フィルムとは、タッチパネルの額縁部に組み込まれている配線パターンやフレキシブルプリント基板(FPC)を隠すため、額縁やロゴ、品番などの印刷をあらかじめ施してあるフィルムのこと。加飾フィルムを一体化したタッチパネルを使用すれば、タッチパネル本体と額縁部の間で段差のない、フラットな画面表示部を持った「ベゼルレス」の機器を設計することができる。
スマートフォンやタブレットPCなどのモバイル機器では、画面表示部をフラットにしたデザインが主流となっている。車載情報機器でも、画面表示部をフラットにしたいという要求があり、加飾フィルムを一体化したタッチパネルが求められていたが、車載仕様をクリアできるような耐環境特性の実現に課題があった。EMU601GDタイプは、加飾フィルムとタッチパネルの構成材料(フィルムとガラス)について、信頼性を確保しながら積層できる独自のプロセス技術と貼り合わせ技術を開発することで、車載向けの耐環境特性を確保している。
EMU601GDタイプの耐湿特性は、温度65℃、湿度90%の条件下で、寿命は1000時間となっている。また、高温特性は、温度85℃の条件下で、1000時間の寿命を実現した。熱衝撃特性についても、−40℃〜85℃までの温度差を与える繰り返し試験に1000サイクル耐えることができたという。
この他、タッチパネル上に加飾フィルムを積層すると、透過率や反射率といった光学特性を維持することが難しくなる。この課題についても、先述したプロセス技術と貼り合わせ技術に加えて、タッチパネルのコーティング技術を最適化することで対応した。透過率が83%、反射率が8%(入射光の波長が550nmの場合)、ヘイズが11%(加飾フィルム最表面のハードコート処理がアンチグレアの場合)となっており、優れた光学特性と高い視認性を実現している。
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