DLP技術の車載利用を目指すTI、センターコンソールとHUDのデモを披露:人とくるまのテクノロジー展2013
日本TIは、「人とくるまのテクノロジー展2013」において、DLP(Digital Light Processing)技術を用いたセンターコンソールやヘッドアップディスプレイ(HUD)のデモンストレーションを披露した。
日本テキサスインスツルメンツ(以下、日本TI)は、「人とくるまのテクノロジー展2013」(2013年5月22〜24日、パシフィコ横浜)において、DLP(Digital Light Processing)技術を用いた車載ディスプレイのデモ展示を行った。センターコンソールやダッシュボード、ヘッドアップディスプレイ(HUD)などにDLP技術を適用することで実現できる車載表示システムの新たな可能性を提案した。
DLP技術を適用したセンターコンソールのデモ装置。表示画面には、車両情報やナビゲーション情報、空調制御情報およびエンターテインメント情報など、さまざまな情報を必要なサイズで表示させることができる(クリックで拡大)
センターコンソールをイメージしたデモ装置は、DLP技術と車載情報機器向けマルチコアプロセッサ「OMAP/Jacinto 6」、赤外線カメラといったTI製品を組み合わせて実現している。DLP技術を用いれば、曲面ディスプレイが可能となるなど、従来の液晶ディスプレイ(LCD)では難しかったデザインを実現できる。ディスプレイの設置位置についても、LCDと比べて設計自由度は高くなる。
表示画面の全体でマルチタッチが可能なタッチスクリーン機能も実現している。さらに、デモ装置の表示画面上には、空調の温度制御や音楽の音量調整に用いる物理的なダイヤルやボタン機能を設けてある。このダイヤルやボタンを操作するとタッチセンサーが働いて回転角などを検知し、温度制御や音量制御などの操作を行えるという寸法だ。「タッチ検出は、赤外線カメラを用いて実現している。画面に指を近づけると、その指によって赤外光が反射され、それを検知して位置検出を行う。このタッチ検出方式であれば、指が運転席側と助手席側のどちらから近づいてきたのかを判別できる。このため、走行中であれば運転者側からの操作を制限したり禁止したりできるので、安全性も確保しやすい」(日本TIの説明員)という。
HUDは、DLP技術の特徴を最大限に生かせる用途の1つである。他のディスプレイ技術に比べて輝度が高く、情報を明瞭に表示できるからだ。視野角も広い。HUDのデモ装置は、運転席のドライバーの目から約2m離れた前方に映像が見えるように調整されている。画面輝度は最大で5万cdに達する。
DLP技術を車載利用するには耐候性も求められる。「現在要求されている動作温度範囲は−40〜95℃。このうち、下限の−40℃については、温度センサーとヒーターを組み込んで対応する。一方の上限については、現時点で90℃まで対応しているが、95℃をクリアするためにさまざまな方策を検討している」(説明員)状況だ。
DLP技術の車載利用では、光源となるLEDの制御技術も重要となる。このため日本TIでは、DLP素子とLEDを駆動するためのドライバICをチップセットで提供する方針だ。
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