IoT製品は顧客を知るセンサーになる:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
PTCジャパンは製造業向けSLM(サービスライフサイクル管理)をテーマにしたユーザーイベント開催した。同イベントには米PTC SLM セグメント シニア バイス プレジデント 兼 ゼネラル マネージャのスティーブ・モランディ氏が登壇し、SLMに関連する近年の市場動向や、今後のSLM事業の戦略について語った。
機械学習を利用した新たなSLMサービスを開発へ
PTCは以前からSLM事業の製品ポートフォリオの強化を進めてきた。2012年に米Servigisticsを買収してSLM事業への本格的な取り組みを開始し、その後2013年にアフターサービス分野のソフトウェア開発ベンダーである米Enigmaを買収。同社が以前から持つPLMソリューションによる製品ライフサイクルの管理とともに、SLMのメリットについても訴求してきた。2014年には米ThingWorxを買収し、IoT分野の強化も図っている。
現在のPTCのSLM製品のポートフォリオは大まかに3つの領域で構成されている。1つ目が製品情報を基にパーツカタログを作成するなど、製品開発で得られる情報を集約する「サービス情報」の領域。2つ目が顧客に対して実際にSLMによるサービスの提供と管理を担う「サービス イベント」。3つ目がアフターパーツの在庫や価格を管理する「サービス パーツ」の領域だ。
PTCは2015年5月に米ServiceMaxとの提携を発表した。ServiceMaxは機器のメンテナンスやそれに伴う人員の調整といったフィールドサービスに特化したサービスをクラウドベースで提供しており、先述したポートフォリオにおける2つ目の「サービス イベント」の領域を担うことになる。こうしたServiceMaxのサービスと、PTCの持つ既存のSLM製品やThingWorxのIoTプラットフォームを活用し、IoTを利用した製造業のサービス事業を支援する。
ServiceMaxは海外で400社以上にフィールドサービスを提供した実績があり、日本国内におけるサービスの提供は2015年10月からのローンチに向けて開発を進めている段階だという。
またモランディ氏は今後のSLM製品ポートフォリオの拡充方針として、2015年に同社が買収した米ColdLightの機械学習・予測分析技術を活用し「予測分析型のソリューションの開発も進めている」と語っている。
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