IoT製品は顧客を知るセンサーになる:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
PTCジャパンは製造業向けSLM(サービスライフサイクル管理)をテーマにしたユーザーイベント開催した。同イベントには米PTC SLM セグメント シニア バイス プレジデント 兼 ゼネラル マネージャのスティーブ・モランディ氏が登壇し、SLMに関連する近年の市場動向や、今後のSLM事業の戦略について語った。
PTCジャパンは2015年7月29日、東京都内で製造業向けSLM(サービスライフサイクル管理)をテーマにしたユーザーイベント「PTC Live Executive Exchange 〜サービス収益と顧客価値の向上で競争優位性を獲得〜」を開催した。同イベントには米PTC SLMセグメント シニアバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャーのスティーブ・モランディ氏が登壇し、SLMに関連する近年の市場動向や同社のSLM事業の今後の戦略について語った。
同氏がまず言及したのが、「サービタイゼーション」の動きだ。グローバル競争の進展などにより、製造業は製品単体での収益確保や差別化が難しくなりつつある。そこで注目されているのがサービタイゼーションだ。これは今までのように製品をただ販売するのではなく、その製品が顧客にどういった価値をもたらすか、という「成果」までを「サービス」として販売していくという考え方だ。
モランディ氏は「これからは空調機器を売るのではなく、“空気の質”を提供するようになる」と語るなど、製造業のビジネスモデルが製品販売から成果型にシフトし、サービス化する動きが加速している点について言及。PTCが外部機関に依頼した調査では、約60%の製造業が今後は成果型の契約にシフトしていく考えを示したという。
サービタイゼーションを後押しするIoT
こうした製造業のサービタイゼーションの動きを後押ししているのがIoT(モノのインターネット)の進展だ。IoTによりインターネットを通じて顧客に提供した製品の稼働状況や使用状況といった「成果」や把握し、最適なメンテナンスなどのサービスを提供することが理論上は可能になる。
モランディ氏は「IoTで製品は顧客を知るセンサーになる。特に保守などのサービス事業はIoT技術を活用しやすい分野であり、その活用度合いが製造業のサービス事業における業務面、戦略面での大きな差別化要因になるだろう」と述べる。
だが同氏は、IoTの進展に伴う製造業のサービス化が進んだ場合のメリットと課題について「製造業にとっては収益源の拡大につながるというメリットがある。しかし成果型のビジネスモデルとなった場合、メーカー側で対応しなくてはならない領域が増える。その分サービス(保守)事業の負荷は大きくなる」と語り、SLMの重要性を指摘。こうした流れを受け、PTCではSLM事業をさらに強化を進めている。
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