ラオスで「かつら」を一貫生産する新工場を稼働――ベースから毛植え、仕上げまで:工場ニュース
アデランスは、ラオスに新工場を建設し、稼働を開始したことを発表した。従来は「毛植え」工程のみの委託生産だったが、自社工場による一貫生産を実現する。
アデランスは2015年7月24日、ラオス南部のサワンナケート県に新工場「サワンナケート工場」を建設し、稼働を開始したことを発表した。投資金額は約6億円。
同社は2012年にラオスでの委託生産を開始。最初の委託工場であるラオス「ヴィエンチャン工場」は、オーダーメイド製品の毛植え工程専用工場として現在も稼働している。2014年5月にはラオス現地法人としてアデランス・ラオス社を立ち上げ自社工場での生産準備を開始し2014年9月にラオス「サワンナケート工場」で賃貸設備を利用した仮工場を稼働させた。仮工場では月産800枚程度のオーダーメイド製品の生産を行っていたが増産ニーズが高まったことから今回、新工場を完成させ、2015年7月27日に稼働を開始した。
新工場で生産する製品は、日本向けだけではなく、欧州、北米向け製品へと広げていく計画だ。また、一貫生産で行う体制によりラオス国内のみで作る「ラオス・オンリーワン」の製品を今後生産していく予定だという。2017年末には、ヴィエンチャン工場を含むラオス全体での雇用は3000人に達し、日系企業のラオスでの生産拠点としては最大規模となる見込みだ。
新工場はオーダーメイド製品の一貫生産を行うが、アデランスの工場で一貫生産を行うのは、2002年に稼働開始したフィリピンに次ぐ2カ所目となる。一貫生産を行うことで、製品の品質向上、生産スケジュール管理の厳格化、生産性向上の3つの利点が生まれるとしている。特に手織りの織物が伝統的に根付いているラオスでは、ウィッグ生産に適した手先の器用な労働力が確保でき、品質向上への貢献が期待されるという。
アデランスでは、2015年末に予定されるASEAN経済共同体(AEC)発足を見据え、SCM構築を推進。約30年に渡り拠点としてきたタイと連携し、タイを物流のハブとしつつ、賃金の安いラオスでの生産を積極的に増やしていく考えだという。
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