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変わる中国の現状とASEANとの関係知っておきたいASEAN事情(22)(1/2 ページ)

実はASEANの動向は中国と密接にリンクしている!? 今回は周辺国に大きな影響を与えている中国の現状について、ASEANへの影響という視点で製造業事情に詳しい筆者が解説する。

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 製造業にとって役立つASEANの現状を紹介してきた連載「知っておきたいASEAN事情」ですが、今回から数回にわたって少し切り口を変えて、ASEANと切っても切れない関係である中国の現状についてお伝えします。

 日本の主要メディアでは、「タイプラスワン」や2015年に発足するASEAN経済共同体(AEC)など、このところ東南アジアに関する報道が多く見られます。しかし、AECが発足し6億人市場になったとしても、ASEANと14億の人口を持つ中国とは強い結び付きがあります。現実的な問題としてASEANと中国は地続きであり、また何世代にもわたり多くの華僑が移住してきた経緯もあります。ASEANの未来を予測する上で、「中国」は絶対に欠かせない要因といえます。

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ASEANの地図。ミャンマー、ラオス、ベトナムの3カ国が中国と国境を接している


カンボジアの反ベトナムデモの陰で暗躍する中国

 ASEANと中国が密接に関連していることを示す事例が最近もありました。カンボジアの反ベトナムデモです。

 このところ、カンボジアでは反ベトナムデモが加熱しています。地続きで国境を接する両国間では、過去に領土を巡る戦いが幾度となく繰り返されてきました。また、近年では両国間の経済格差も問題となっており「ベトナム人に仕事を奪われた」とする市民の不満が生まれています。そのため、カンボジアの首都プノンペンでは、反ベトナムのデモが連日行われている状況です。

 一方のベトナムは南沙諸島を巡る領土問題で中国との緊張が高まっています。こうした状況下で中国が採った手段は、カンボジアに対する一層の経済援助です。もともと地理的に近いインドシナの国々にとって、中国の脅威は巨大なものです。しかし、現在のカンボジアにとっては「中国は味方」と捉えられています。

 このような動きを見ると、政治的な状況に対し圧倒的な経済力を持って戦略的にさまざまな仕掛けを実施し、親中国家を仕立てていく中国のしたたかさを強く感じます。その意味ではASEANは多くの局面で中国の影響下にあるといっても過言ではありません。

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ベトナム国旗を燃やすプノンペンでの反ベトナムデモ

労働市場の変化

 さて、その中国ですが、このところ大きな変化の兆しが見受けられます。

 まず中国国内の環境に目を向けると、労働賃金の大幅な上昇、労働市場の需給バランスの崩れなど、製造業にとってはかなり深刻な問題が発生しています。この問題は多くの媒体で取り上げられているので詳細は省きますが、そのため製造業の対抗策としては、2013年あたりから「自動化」が注目されています(関連記事:海外展開でもうかる企業は一部だけ!? 日系企業が国内生産にこだわるべき理由)。

 従来の人海戦術を脱し、最新鋭の自動機、ロボットを積極的に導入する製造ラインの自動化を進めるという動きです。中国の製造業は意外にも資金力のある企業が多く、今積極的に自動化を推進し、製造ラインで活用する人員数を減らす努力をしています(関連記事:ロボット市場は好調持続、中国の生産現場の自動化が加速)。その意味では、安い人件費を武器に「安い製品を大量生産する」という製造業におけるビジネス構造は変わりつつあるのかもしれません。

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