車載情報機器のスマホ連携基盤にニュアンス参戦、マツダ提携の米ベンチャーと:車載情報機器(2/2 ページ)
音声認識エンジンを手掛けるNuance Communications(ニュアンス)と米国ベンチャーで車載情報機器のソフトウェアプラットフォームを展開するOpenCar(オープンカー)が提携。常時通信接続を行うコネクテッドカーで重要な役割を担う、車載情報機器のスマートフォン連携プラットフォームの事業展開を加速させる。
「クルマそのものの開発と車載情報機器のソフトウェア開発を分けた」
展開を拡大しているとはいえ、車載情報機器に用いられるソフトウェアのうち、Dragon Driveがカバーする範囲はほんの一部にすぎない。現在の車載情報機器は、OSからミドルウェア、HMI(Human Machine Interface)を動作させるHMTL5ランタイムなどをパッケージ化したプラットフォームがベースになっている。これらの車載情報機器プラットフォームには、QNX Software Systemsの「QNX CAR Platform for Infotainment」、オープンソースのLinuxをベースOSとする「Android」や「Automotive Grade Linux」などがある。
Dragon Driveの特徴は、車載情報機器側のソフトウェアというよりも、今後のコネクテッドカーにおける通信接続手段の主役となるスマートフォンと、スマートフォンによって常時接続で活用可能になるクラウドサービスになる。
今回ニュアンスが提携したオープンカーは2011年に創業したベンチャー企業だ。2014年1月、HMIを軽快に動作させられるHMTL5ランタイムのフレームワーク「OpenCar Connect」を発表すると同時に、マツダとの戦略的パートナーシップ締結を電撃的に発表。2015年1月開催の「2015 International CES」では、マツダの車載情報機器プラットフォーム「Mazda Connect(マツダコネクト)」上で、OpenCar ConnectとHTML5ベースのHMIやアプリを動作せるデモンストレーションを披露している。
オープンカーCEOのペイン氏は「車載情報機器を搭載するクルマの場合、価値の低下を感じるという意味での寿命は約5年。これに対して、常時接続のコネクテッドカーとなった車載情報機器に組み込まれるソフトウェアの寿命は、PCやスマートフォンと同様に半年程度だ。今後は、クルマの寿命が長いからと言って、車載情報機器のソフトウェアも同じ期間変わらなくていいということはあり得ない。OpenCar Connectは、クルマそのものの開発と車載情報機器のソフトウェア開発を分けられるようにした」と協調する。
オープンカーが現時点でベースOSとして想定しているのはLinuxだ。同社は、Linuxをベースとする車載情報機器のオープンプラットフォーム構築を目指すGENIVIに参加しており、OpenCar ConnectはGENIVIに準拠する仕様になっている。
今回のニュアンスとオープンカーの提携では、OpenCar ConnectにおけるOSとの接続インタフェースとなる「Integration Layer」に、Dragon Driveの組み込み音声認識エンジンやコンテンツ提供プラットフォームのクライアントソフトウェアを統合することになった。
ニュアンスのヴァイル氏は「オープンカーとの提携により、車載情報機器にスマートフォンと同様のコンテンツを統合していく作業を加速させられる。そして、スマートフォンなどのモバイル機器と車載情報機器におけるコンテンツ体験を一貫したものにすれば、われわれの提唱する『スマートカーのユーザー体験』を早期に実現できるだろう」と述べている。
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