3次元駆動のオートサンプラーを搭載したスペクトル型セルアナライザー:医療機器ニュース
ソニーは、細胞分析装置の新製品として、3次元(前後・左右・上下)に駆動するオートサンプラーを搭載した、全自動スペクトル型セルアナライザー「SA3800」を発表した。
ソニーは2015年6月17日、細胞分析装置(フローサイトメーター)の新製品として、3次元(前後・左右・上下)に駆動するオートサンプラーを搭載した、全自動スペクトル型セルアナライザー「SA3800」を発表した。
SA3800は、新開発のオートサンプラー「3D AutoSampler」を搭載している。このオートサンプラーでは、固定したサンプルプローブに向かって、サンプル容器を3次元に駆動させることで、96ウェルプレート1枚当たり25分の処理スピードを可能にした。また、プローブ内の自動洗浄機能と組み合わせることで、前に測定した細胞が次の測定に混入する割合(キャリーオーバー率)を0.1%以下に抑えた。これらの機能により、多検体測定に求められる、高速かつ安定的なサンプル採取が可能になるという。
光学部には、同社の従来製品「SP6800Zシリーズ」と同様、独自のスペクトル解析方式を採用した。光学フィルターは使用せず、独自設計のプリズムで蛍光波長を各色に分離し、32チャンネル光電子増倍管(PMT)を組み合わせて用いることで、蛍光の波形形状を高精度に測定できる。自家蛍光も色として識別し、他のシグナルから分離することも可能で、従来は測定できなかった細胞の自家蛍光の検出や分離もできる。
さらに、同社独自の解析アルゴリズムにより、複数の蛍光色素のシグナル情報を波形形状から各色素の情報に分離し、その強度などの情報を解析することもできるという。
オートサンプラーは、96ウェルプレート、384ウェルプレート、5mlチューブラックに対応。測定パラメーター数は、1×前方散乱光(FSC)、1×側方散乱光(SSC)、34×蛍光パラメーター(405nmレーザー搭載時)、2×細胞通過位置座標(X、Y)となる。
レーザー波長は、488nmレーザーに加えて、405nm/561nm/638nmのレーザーを追加選択でき、最大4本搭載可能。発売は2015年8月の予定で、価格は1700万円から。
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