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“日本版インダストリー4.0”のカギは“緩やかな標準”――新団体「IVI」発起人FAインタビュー(2/2 ページ)

ドイツのインダストリー4.0や米国のインダストリアルインターネットなど、世界的にモノづくり革新の動きが加速し“仲間作り”が進む中、日本は各企業がバラバラでまとまる動きがなかった。こうした状況に危機意識を持ち“緩やかにつながる”ことを目指して2015年6月18日に発足するのが「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」だ。同団体の発起人である法政大学デザイン工学部 教授 西岡靖之氏に狙いと取り組みについて話を聞いた。

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ポイントは“緩やかな標準”

MONOist ドイツや米国の取り組みでは標準化をカギとし、力を入れて取り組んでいますが「標準化活動」についてはどう考えますか。

西岡氏 既に「つながる工場」の標準化に向けては、IECで議論が進んでおり、これらの国際標準化の動きについて合わせていくことは必要だが、IVIで進んで行うことはないと考えている。

 国際標準化活動は非常に重要だが、それよりも日本の製造業が実際に困っている点を競争領域と協調領域に分け、協調領域の話し合いの場を作っていくということが重要だと考えている。似たような課題を抱えている企業の問題解決のリファレンスモデルを作るということだ。問題解決を進める中で“緩やかな標準”のような形を見つけることができれば、それが成果だといえる。参加する製造業により具体的な成果を提供できるような場を目指したい。

IVIの具体的な活動の内容

MONOist “緩やかな標準”を作る実際の活動はどのように進めていくつもりですか。

西岡氏 基本的には会員企業が抱える問題に対し、活動ベースに落としたリファレンスモデル「活動モデル」をより多く作り、共有できるようにしていくということが活動の中心となる。企業の抱える問題を実用的なレベルで抽象化した「シナリオ」を作り、場面と関わる人員(アクター)を設定。その中で問題を解決できる取り組みや手法を抽象化した「活動モデル」を作り出していく。そしてそのそれぞれの活動に結び付く「情報」の動きから、最適なICTの仕組みなどを作り上げていくという形だ。

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IVIのWebサイト。会員用ページで「活動モデル」などを共有する(クリックでWebサイトへ)

 「シナリオ」を生み出す課題は、会員企業間で話し合うが、同じ課題を持つ企業が2社以上集まった場合、まずはオープンな「ワーキンググループ」で「シナリオ」を設定する。その後、両社のノウハウに関わる領域になれば「プロジェクト」として、それ以降は契約を結び、参加企業のノウハウが流出するようなことがないようにして、掘り下げていくという運営手法を取る。

 これらの手法は、Webサイトの会員用ページで共有できるようにし、企業が課題を選べば、それの問題解決モデルが示されるような仕組みを考えている。

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IVIによるリファレンスモデル開発の動き(クリックで拡大)※出典:IVI

早期に500以上の「活動モデル」を

MONOist 今後の目標についてはどう考えますか。

西岡氏 会員は企業に絞り込んでいるがほぼ40〜50社が参加する見込み。当面の目標は有効な「活動モデル」の数を増やしていくことになる。活動モデルは開始当初で既に200〜300は用意しているが、早期に1000を超えるようにしたい。

 また、現状では大企業向けの活動モデルが多いが、中小製造業にこそ役立つこともあると考えている。中小製造業の参加や、活動モデルの活用なども呼び掛けていきたい。

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