「医療器材」の成長を目指す台湾、2027年の生産高は1兆円超を見込む:医療機器ニュース(2/2 ページ)
台湾経済部 国際貿易局と台湾貿易センターは、台湾の優れた医療機器や歯科機器、介護機器するイベントを開催。台湾の医療機器産業の成長戦略についても説明があり、高度医療機器の開発やサービスの付加価値化などによって、2027年の生産高を2013年比で2.5倍の3000億台湾ドル(約1兆2000億円)以上に成長させることを見込んでいる。
高度な医療器材で有力な企業が育っていない
生産高が成長を続けているとはいえ、台湾の医療器材市場は日本と同様に輸入超過が続いている。2007年は輸入が419億台湾ドルに対して輸出が290億台湾ドルで、5年後の2012年は輸入が568億台湾ドルに対して輸出が425億台湾ドル。生産高の成長に合わせて輸出が伸びているものの、医療器材需要の高さから輸入も伸びているため、差はなかなか縮まっていない。
台湾の医療器材メーカーは、血糖測定器や血圧計、コンタクトレンズ、そして海外医療機器メーカーへのOEM供給などで優位なポジションを築いている。しかし、超音波診断やX線診断、MRI、内視鏡といった高度な医療器材ではまだ有力な企業が育っていないのが現状であり、輸入超過の要因にもなっている。
陳氏は、「海外医療機器メーカーへのOEM供給をてこに自社ブランド開拓を積極的に進める企業が出てきており、今後輸出額は大幅に成長する見通しだ。政府もその動きを後押ししている」と語る。
まずは2009年には、「台湾バイオテクノロジーテイクオフダイヤモンドアクションプラン」により、医療器材や医薬品を含めたバイオテクノロジー産業の研究開発や製品の市場投入を支援する政策が発表された。この政策のもと、バイオテクノロジー統合育成センター(SIC)や、バイオテクノロジーベンチャーキャピタルファンド(BVC)などが活動を始めている。そして、エレクトロニクス産業の集積地でもある台湾西沿岸にある三大サイエンスパーク(新竹、台中、南部)で、医療器材メーカーも育ちつつあるという。
これらの施策によって高度な医療器材の開発を進め、2018年には台湾の医療器材生産高を2013年比46%増の1700億台湾ドルに成長させたい考え。そして、各種産業で導入し製造業のサービス化のための政策「三業四化」によって医療器材サービスの付加価値化を進めて2020年に2300億円台湾ドルを目指す。そして2027年には3000億台湾ドル以上になることを見込んでいる。3000億台湾ドルは日本円で1兆2000億円
陳氏は「台湾独自の先進的な医療器材の開発事例が最近幾つも出てきており、将来は明るい」と述べている。
関連記事
- 日本の医療機器、伸びるのはこれから――大胆な発想で30年後の世界を狙う
ロームと日本大学が開催したシンポジウムに、公益財団法人医療機器センターの理事長を務める菊池眞氏が登壇した。同氏は、これまで日本が医療機器の研究開発に大規模な投資を行ってきたことを踏まえ、「しっかりした基礎があるのだから、日本の医療機器が伸びるのはこれからだ」と主張した。 - 国策として革新的な機器開発が後押しされている医療機器産業、幅広い職種で未経験者も含めて採用強化中
2013年10月時点の自動車業界、組み込みソフト分野、医療機器業界の転職市場状況を紹介。 - 日本のモノづくりが息づく台湾企業(前編)
いまやモノづくり分野での存在感が大きい台湾。今回は、台湾企業3社におけるグローバル化と日本のモノづくりとのつながりについて紹介する。 - 日本のモノづくりが息づく台湾企業(後編)
遠方からの来客に明るく優しく接する。台湾企業のおもてなしの心から、経営の形も垣間見えそう。 - EMS大手の新金宝グループは、なぜ3Dプリンタを自社ブランドで展開するのか
「生産拠点としての中国」を取り巻く環境が変化する中、台湾系EMS企業を取り巻く環境も変化が進んでいる。その中でいち早くグローバル生産体制を構築し製造業の「グローバル最適地生産」の支援を進めているのが新金宝グループだ。同グループはEMSでありながら、3Dプリンタや植物工場などで独自ブランド製品を展開するなど先進的な取り組みを見せる。同グループCEOの沈軾栄氏に話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.