国策として革新的な機器開発が後押しされている医療機器産業、幅広い職種で未経験者も含めて採用強化中:分野別 転職市場状況
2013年10月時点の自動車業界、組み込みソフト分野、医療機器業界の転職市場状況を紹介。
本記事は人材紹介会社「メイテックネクスト」河辺真典氏からの寄稿です。
自動車業界の状況と転職のポイント
車両メーカーは、次世代技術開発に向け対応を進めています。車両に関わる技術はもとより、生産技術および製造技術開発も取り組み対象です。
サプライヤーにおいては新興国、次世代環境対策車と双方の開発プロジェクトの増加に伴ない、製品化に向けた動きが加速しております。
また、これまでのメイン取引先への対応を維持継続させる一方で、新たな案件獲得、拡販に向けた動きを見せています。過去の系列イメージ外の取引獲得に向けた動きです。強い技術領域を伸ばし、先進技術で優位性を発揮すると同時に、生産コストを削減しコスト優位で系列外の車両メーカーから受注獲得を推進するのも戦略の1つです。
また車両メーカーの現地調達、現地生産、現地販売に向けた動きにシンクロする現地マーケティングから現地開発設計についても、同様に対応中です。
しかし、これらの背景から募集される中途採用ニーズ多くは、詳しく求人票には書かれていないため、表面的には『グローバル化による国内人員の補充』となり、『プロジェクトの増加に伴う人員募集』となるため明確には伝わりづらいようです。面接の機会を得たのであれば、各社がどのような戦略を持って先の5年〜10年を戦おうとしているのかをぜひ聞いてみてください。各社がそれぞれの足元を固める動きとともに、先行きに対する選択肢を増やすために戦略的な施策を展開しています。
組み込みソフト分野の状況と転職のポイント
組み込み分野では、引き続き、大手メーカーを中心に、センシング技術、画像処理技術など有力なコア技術を持つベンチャーまで、求人の裾野は引き続き拡張傾向にありますが、同時に採用側の求めるスキルの細分化も進み、採用基準は高くなっていると言えるでしょう。
その中でも、業績が堅調な自動車業界では、バッテリーコントロール・車載センサーカメラ・通信・ECU制御など、安全・環境基準の強化に伴った対応が急務であり、予防安全を中心に新規開発への人材投入が急がれ、異業界出身のエンジニアにもチャンスが広がっています。
通信業界の新規格対応などのニーズはいったん落ち着いてきておりますが、スマートフォン・タブレットの普及に伴うアプリケーションソフトの開発は引き続き堅調です。
また、自動車業界を中心に、新規部品・モジュールの製品化に伴い、新しい生産設備の導入や設備への新機能追加も必要となっており、自社設備開発エンジニアのニーズや、それにひもづいた一部産業装置メーカーでも、画像処理検査装置や分析装置、計測機器に関わる求人のニーズが好調です。
医療機器業界 の状況と転職のポイント
国の政策として、平成15年度の「医療機器ビジョン」や平成24年度に「革新的医薬品・医療機器・再生医療製品実用化促進事業」が実施され、“より優れた”、“より安全性の高い”わが国発の革新的医療機器の開発を通じて、国民のみならず世界の患者の保健医療水準の向上に貢献するよう、医療機器産業の国際競争力の強化を目指す取り組みが行われています。国内(内資)医療機器メーカーは海外展開の強化、海外メーカーのM&Aなど海外市場拡大も含めた成長戦略を掲げている企業については、製品開発、サービスエンジニア、営業など幅広い職種で採用も強化しています。
また、先端医療(がん治療機器)などの分野も導入台数が増えてきており、サービスエンジニアの強化のため増員に向けた採用が続いています。
職務経験として生産技術や製品設計をお持ちのエンジニアの方が医療業界は未経験であってもご活躍されている事例なども多く、医療業界未経験の方の採用も活発になっています。
プロフィール
河辺 真典(かわべ まさのり)
株式会社メイテックネクスト コンサルタント 統括マネージャー。
元生産技術のエンジニアとして5年勤務し、前職リクルートエージェントでエンジニアの転職紹介を8年経験した後、メイテックネクストでエンジニアの皆さまのさらなる転身のためにサポートしております。
エンジニアの皆さまの今までのご経験とご希望、それに時間軸を加えた3軸で、皆さまの転職を分析し解きほどいていきますと、今まで混沌としていた転職も、おのずと方向が見えてきます。
面談ブースで皆さまとお話しさせていただくことによって、そういったお話しを見い出せたらなと思い、日々仕事をしています。
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