“テーブルごと”の特定ができるシート型ビーコン、帝人らが提供:組み込み開発ニュース
ビーコンの信号を「面」として認識し、スマホやタブレットを置くだけで店内のテーブル位置特定などが可能なシート型ビーコン「PaperBeacon」を帝人とセルクロス、タグキャストの3社が開発、提供開始する。
帝人とタグキャスト、セルクロスは2015年5月25日、ビーコンの信号を「面」として認識し屋内でも位置情報を取得できるシート型ビーコン「PaperBeacon」を開発、同年6月1日より販売開始すると発表した。
これは帝人とセルクロスが開発した、電波をシート上に閉じ込める2次元通信シート「セルフォーム」と、タグキャストの屋内でも位置情報を取得できるビーコン技術「TAGCAST」を組み合わせたもので、“PaperBeaconを敷いたテーブルにスマートフォンを置くとテーブルに応じた機能を提供する”など、「空間」ではなく「面」でのビーコン活用が可能となる。
シート内に電波を閉じ込める二次元通信「セルフォーム」の概要。シート内を電波が平面的に(二次元的な波動として)伝わるため、シート上に対象物をおかないと通信が成立しない。ただ、シート上のどこに対象物をおいても通信が成立するため、ビーコンとして利用する際にはシートのどこにスマートフォンを置いてもよい
一般的なO2Oにおけるビーコンの仕組みでは、ビーコンとスマートフォンの間はWi-FiやBluetoothなどで電波を飛ばして接続される。そのため広範囲での認証が行えるものの、“飲食店でテーブルごとを認証したい”という狭い範囲での利用には適していない。NFC(Near Field Communication)は狭い範囲での情報伝達に適しているが、「点」のような狭さになってしまう。
セルフォームはあえて電波を飛ばさないことで設置の自由度やセキュリティの確保、他アクセスポイントとの干渉を防ぐことを目的とした通信シートであり、PaperBeaconはこの電波を遠くに飛ばさないセルフォームをビーコンとし、GPSの信号なしにビーコンからの発信電波のみで位置情報を得られる「TAGCAST」と組み合わせることで、「テーブルごと」や「着席者ごと」など、NFCより広く、Wi-Fiより限定された範囲でのピンポイントなサービス提供を可能にする。
TAGCASTによって室内での位置情報を取得できるので、飲食店ならば「スマートフォンからテーブル位置を含めての注文情報を厨房に送る」、学校ならば「タブレットを席に置くと出席情報が教員に送られる」などの利用が想定される。
PaperBeacon自体の製造は帝人とセルクロスが、クラウドサービスを含めた販売運用はタグキャストが行う。タグキャストはビーコンでの認証と位置情報提供といった基盤を店舗運営者などに提供するビジネス形態をとり、利用料金は初期導入費用5000円、月額800円からと抑えることで初年度の1万枚の出荷を見込むとしている。
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