QRコードやビーコンより使いやすい「光ID」、パナソニックが2015年度に商品化:組み込み開発ニュース
パナソニックは、LED光源からの光に組み込んだID信号「光ID」を、スマートフォン搭載のイメージセンサーと専用アプリで高速受信する技術を開発した。2015年度内に同技術を用いた「光ID発信機器」の商品化を目指す。
パナソニックは2014年12月11日、LED光源からの光に組み込んだID信号「光ID」を、スマートフォン搭載のイメージセンサーと専用アプリで高速受信する技術を開発したと発表した。2015年度内に同技術を用いた「光ID発信機器」の商品化を目指す。それに先駆けて、光IDの情報提供サービスの試行体験会を、伊勢丹新宿本店で実施する予定。また。米国ラスベガスで開催される家電イベント「2015 International CES」でも披露する。
LED光源は、人間の目に感じられないレベルで高速に点滅させることで、その光の中にID信号をはじめとするさまざまな情報を組み込む「可視光通信技術」を利用できることが知られている。しかし、従来の可視光通信方式を利用した光IDをスマートフォンで読み取る場合、専用の受光器が必要であるとともに、データ送受信速度が10数bpsと低速なことが課題になっていた。
今回の技術を用いれば、スマートフォン専用のアプリをインストールするだけで、スマートフォンと光IDの発信機器(デジタルサイネージ、LED照明など)の間での光ID送受信が可能になる。また、従来技術の数百倍の通信速度となる数kbpsで光IDを送受信できるようになるという。
ユーザーは流通業界や交通業界などを想定
パナソニックが光IDの用途として想定しているのが、流通業界や交通業界、美術館や博物館などの展示装飾業界だ。例えば流通業界であれば、LED光源をバックライトに用いる店舗看板やデジタルサイネージなどから光IDを発信する。スマートフォンでこのIDを読み取った来店者に、Web上の詳細情報に誘導したり、クーポンを提供したりできる。従来のO2O(Online to Offline)マーケティングの枠組みをさらに広げた“Online to Offline to Online”マーケティングが可能になるという。
交通業界では、交通案内看板の多言語化対応を補助できるとする。交通案内看板や構内案内図、周辺案内図から光IDを発信し、スマートフォンでIDを読み取れば、看板の中に記載しきれない数多くの言語による情報提供がスマートフォンの画面を通して実現可能になる。
美術館や博物館では、展示品を照らすスポットライトから光IDを発信し、スマートフォンやタブレット端末で、その展示品の詳細情報の表示・解説を行うシステムとして利用できるとする。
競合技術はQRコードやビーコン
パナソニックが光IDの競合技術として挙げるのが、QRコードやARマーカー、Bluetoothを用いるBeacon(ビーコン)などだ。
QRコードやARマーカーなどの画像読み取り方式は、受信時に読み取り位置を合わせたり複雑な画像を認識処理したりする手間が必要になる。これに対して光IDは、スマートフォンのカメラをLED光源またはその光源で照らされた対象物にかざすだけで素早く情報を受信できるという。
Bluetoothを用いるビーコンや超音波を用いた情報送信方式は、電波干渉や音波干渉を考慮しなければならない。一方光IDは、隣接する場所に複数の光ID発信器を設置し、多様な情報を提供することができるメリットがあるとしている。
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