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解析の大規模化をクラウドやオープンソースで乗り切るベンダーに聞くCAE最新動向(3)(1/3 ページ)

CAEの最新動向を有力ベンダーに聞く短期連載。第3回は、ソフトウェアを提供するITベンダーでありながら、受託解析やコンサルティングも請け負うIDAJに、大規模解析や受託ビジネスについての現状や課題について聞いた。

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 今や製造業においてCADやCAEといったデジタルツールはすっかり身近な存在となった。企業自身でHPCと解析部門を備えていたり、設計現場でもCAEが積極的に使われるようになったりと、CAE活用が進んだ今もなお、受託解析ビジネスのニーズは相変わらず大きいという。例えば、中小規模の解析やルーチン化された解析であれば企業内で行い、それより難易度の高い解析や、大規模なセル数の解析などは受託解析を請け負う外部企業に発注するといった使い分けがされている。

 IDAJはソフトウェアを提供するITベンダーでありながら、受託解析やコンサルティングも請け負っている。同社の取締役副社長 兼 解析技術事業部 事業部長 石川正俊氏に、大規模解析や受託ビジネスについての現状や課題について聞いた。

ハイエンドCAEユーザーと解析の大規模化

 製造業のCAE活用は企業規模の大小、業種、製品により事情や活用レベルがさまざまであるが、一部の企業では連成解析や最適化にも取り組み、分野によってはセル数が数千万どころか億単位にまで及ぶことがある。特に自動車や重工業系の一部で大規模解析の事例がよく見られる。例えば、複雑な現象を扱わなければならないエンジン機構や自動車の空力などの解析が挙げられる。

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IDAJ 取締役副社長 兼 解析技術事業部 事業部長 石川正俊氏

 IDAJで受ける解析案件はデータが大規模であるばかりか、「1億メッシュレベルの計算を1日でやってほしい」という具合に納期まで厳しい場合もあるという。「『顧客から依頼を受ける、解析する、結果報告する』という従来のシンプルなプロセスに加えて、コンサルティングなど付加価値が強く求められている」(石川氏)。難易度や専門性の高い解析、大規模な解析の依頼も増えているとのことだ。

 解析データが大規模化している要因の1つにはハードウェアとソフトウェアの高性能化が挙げられる。マシンの高い能力を目いっぱい引き出し、できるだけ早く結果を出そうという流れになることは必至である。またソフトウェア側の設定が簡略化したことで、解析モデルをどんどん計算処理に回せるようになった。「最近の解析ソフトウェアなら、従来人力で2、3日かかっていたメッシュ作成作業が、自動メッシュ機能によりすぐに終わる」(石川氏)。

 欲しい計算性能の分だけ並列数をどんどん上げていけば、コストは軒並み膨れ上がる。単純にPCクラスタサーバ本体の価格や電気代の他、通信、サーバを維持するための場所と空調の電気代、並列数に伴って増加するソフトウェアのライセンスコストなどが積み重なっていく。

 当然、解析案件の数は波があるものだ。例えば繁忙期に合わせて設備をそろえていては、閑散期に稼働していないマシンの維持費がもったいない。サーバルームの電気代は、結構な高額である。IDAJの受託解析部門においても、繁忙期に新たに仕事を受けたくても、計算機が空いていないため、新たに仕事が受けられないといった事態も起こっていた。

 一部のハイエンドなCAEユーザーにおいては、高機能化したハードウェアやソフトウェアの能力と、複雑な現象を解かなければならないユーザーのニーズと、CAEの設備コストのバランスが取れていないといえる。そのような状況から注目されているのが、HPCクラウドサービスやオープンソースベースの解析ソフトである。

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