アルミ部品と樹脂を化学結合で一体化、接着剤よりも安価に:高機能フィルム展
神戸製鋼所は、「第6回 高機能フィルム展」と同時開催の「第2回 高機能 金属展」において、アルミニウム加工部品とポリプロピレン(PP)樹脂を一体化する新開発の接合技術を披露した。
神戸製鋼所は、「第6回 高機能フィルム展」(2015年4月8〜10日、東京ビッグサイト)と同時開催の「第2回 高機能 金属展」において、アルミニウム加工部品とポリプロピレン(PP)樹脂を一体化する新開発の接合技術を披露した。
同技術は、ある表面処理を行ったアルミニウム加工部品を、PP樹脂部品の金型にセットして射出成型すれば、アルミニウム加工部品の表面処理部分とPP樹脂が化学結合し一体化・接合できるというものだ。
PP樹脂部品に埋め込む場合には、アルミニウム加工部品の両面に表面処理を施す必要がある。PP樹脂部品の表面にアルミニウム加工部品を面接合する場合は、接合する面にのみ表面処理を行えばよい。
自動車の外装ボディは、軽量化のために樹脂部品の採用が拡大している。ただし、金属部品と樹脂部品をつなげる手法は、ボルトなどを使った締結や、接着剤、ナノ加工した金属表面と樹脂表面の間の機械的な接合が中心だった。
今回の技術は、アルミニウム加工部品の表面とPP樹脂が化学結合するので、一定レベル以上の剛性を確保できる。射出成型プロセスの際にアルミニウム加工部品が一体化・接合されるので、接着剤を使うよりもプロセスを簡素化しながら、ボルトレス化が可能になる。さらに「接着剤より安価になるようにしたい」(同社の説明員)ともしている。
アルミニウムとPP樹脂の膨張係数の差による影響は、PP樹脂の強度を高めるガラス強化繊維などの含有量を調整して対応することになる。またアルミニウムの他、鉄製部品にも適用できるよう技術開発を進めているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- オール樹脂製自動車は実現できるのか、CFRPだけじゃない材料メーカーの取り組み
自動車の材料を金属から樹脂に置き換えれば大幅な軽量化が可能だ。炭素繊維強化樹脂(CFRP)が注目を集めているが、その他にも樹脂の採用拡大に向けたさまざまな取り組みが進んでいる。 - 「フィールダー」がトヨタ車初の樹脂バックドアを採用、2.5kgの軽量化に成功
新型「カローラ フィールダー」は、トヨタ車として初となる樹脂バックドアを採用している。従来の鋼板バックドアと比べて2.5kgの軽量化に成功した。 - 炭素繊維強化樹脂はなぜ高価なのか、熱可塑性樹脂の適用が限界を打ち破る
自動車の軽量化に大きく貢献するとされている炭素繊維強化樹脂は、高価なこともあって量産車の構造部材に採用されている例はまれだ。しかし、NEDOのプロジェクトが開発した熱可塑性樹脂を用いる炭素繊維強化樹脂であれば、その限界を打ち破れるかもしれない。 - “カッコイイ”トヨタの「SAI」、樹脂部品の20%がエコプラとリサイクル材に
世代を超えて“カッコイイ”と共感されるように、エクステリアやインテリアを一新したトヨタ自動車のハイブリッド車「SAI」。樹脂部品の20%に植物由来プラスチックや樹脂リサイクル部品を使用するなど、材料面における環境への配慮にも力を入れている。 - 樹脂製品を量産するための5つのポイント
2代目社長と一緒に樹脂製品を作ろう。今回は樹脂製品を量産するために確認しておきたい5つのポイントについて解説する。