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製造業に襲い掛かる第3次IT革命の波マイケル・ポーターの「IoT時代の競争戦略」(前編)(3/3 ページ)

経済学者マイケル・ポーター氏と米国PTCの社長兼CEOであるジェームズ・ヘプルマン氏の共著でるIoTに関する論文「IoT時代の競争戦略」が公開された。PTCジャパンでは、同論文の内容を解説する説明会を開催した。

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IoTで具体的に製品がどう変わるのか

 それではスマートコネクテッドプロダクトとなることで製品の機能はどのように変わるのだろうか。具体的に付与される新しい機能としては以下の4つがあるという。

  1. モニタリング(Monitoring)
  2. 制御(Control)
  3. 最適化(Optimization)
  4. 自律性(Autonomy)

 これらの4つの機能は、それ単体でも価値を持つとともに、次のレベルの土台としての役割も果たすことになる(図3)。

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図3:スマートコネクテッドプロダクトに求められる具体的な機能(クリックで拡大)※出典:PTCジャパン

 実際に4つの機能を見ていこう。

モニタリング

 スマートコネクテッドプロダクトは、センサーと外部からのデータを使って、製品の状態や稼働状況、外部環境の監視を行うことができる。ここで得られるデータは製品設計や市場のセグメンテーション、アフターサービスの強化などに大きく役立つ。例えば医療機器でペースメーカーの状況を常に監視し続けたり、掘削機械の稼働状況などを常に把握したりすることができる。

制御

 スマートコネクテッドプロダクトは常に接続を行っているため、製品クラウド上の遠隔コマンドやアルゴリズムによって制御が可能だ。アルゴリズムによって状況や環境が指定した通りに変化した場合に、それに応じて製品に指示を出し、最適な動作をさせられる。例えば、家のドアホンが押された時にその映像をスマートフォンに転送し、スマートフォンで応対するようなことなどが可能となる。

最適化

 モニタリングデータと制御機能を組み合わせることで、製品性能の最適化が可能となる。過去のデータと現在のデータを比較し、過去のデータを分析しアルゴリズムにより処理を行うことで自動で最適な制御を行えるようになる。例えば、風力発電では、風車の回転に合わせて制御装置が各ブレードを調節し最も発電効果が高くするだけでなく、周辺の風車の効率を妨げずに、回転できるようにすることなどが可能となる。

自律性

 モニタリング、制御、最適化の技術が結び付くことで、製品は自律的に最適な判断を下せるようになる。自律性を備えたシンプルな例としては、さまざまな形状の部屋の床の状態を探って掃除をする掃除ロボットがある。より洗練された製品を考えてみると、自らの稼働状況と環境に関するデータを基にアルゴリズムを作動させ、他製品との通信機能なども含めて最適な作業を行い続けることが可能となる。

◇     ◇     ◇     ◇

 前編では、IoTおよびスマートコネクテッドデバイスとはどういうもので具体的にどういう機能を保有するようになるのか、ということを紹介した。中編では、これによって産業構造がどのように変化するのかということについて説明する。

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