IoT時代の生産現場に対応、“業界最速クラス”の演算能力を持つPLCを発売:FAニュース
オムロンは、マシンオートメーションコントローラー(PLC)の新ラインアップとして、NXシリーズ「形NX701」とNJシリーズ「形NJ101」のグローバル販売を開始した。
オムロンは2015年4月1日、同社が展開する「Sysmacオートメーションプラットフォーム」(以下、Sysmac)の中核を担うマシンオートメーションコントローラー(PLC)のラインアップを拡充。新たに、NXシリーズ「形NX701」とNJシリーズ「形NJ101」を2015年4月1日から全世界で一斉に発売することを発表した。
「Sysmac」は、2011年7月にアーキテクチャを一新し、情報通信技術(ICT)分野の最新技術を素早く取り込める構造を採用。PCアーキテクチャを採用した他、IEC61131-3など世界標準に準拠。また、グローバルにオープンなネットワークであるEtherNet/IP、EtherCATを採用し、標準化したシステム構築を可能としている(関連記事:オムロン、インテル Atom搭載の次世代マシンオートメーションコントローラ発表)。そのため、ソフトウェアで各種のアプリケーション機能を作り出し、ファクトリーオートメーション(FA)機器や3次元シミュレーションなどの設計支援ツールと連携でき、“つながる工場”などを実現できることが特徴となっている(関連記事:オムロンが「卓球ロボット」で訴えたかったもの)。
今回、新たに発売する「形NX701」は、インテル Core i7 プロセッサ(クアッドコア)を搭載し、FA業界では「最速」(オムロン調べ)の演算性能と大容量メモリを搭載していることが特徴だ。IoT活用によって高度化される生産現場の未来を見据え、PLCなど従来型のコントローラーの枠組みを超えて、あらゆるユーザーが自由に必要な機能を拡張できる統合型コントローラーとして開発したという。
最大260MBの大容量変数を持ち、最大256軸までの大規模システムの高速高精度制御に対応する。ラダー基本命令はもちろん、倍精度浮動小数点演算も高速に実行可能。1Gbpsに対応したEtherNet/IPポートを2ポート標準搭載し、260MBの大容量変数が取り扱える。機器制御と並行したデータ収集、解析にも対応する。
一方の「形NJ101」は、「Sysmac」のアプリケーション機能やソリューションを、既存の生産設備や汎用的な装置に適用できるようにハードウェア性能をシンプル化した、マシンオートメーションコントローラーのエントリーモデル。形NJ501および形301と完全互換し、少軸・軸なし仕様で最適に利用可能だ。
製造業を取り巻く環境は大きく変化しており、IoTやビッグデータ活用など最新のICTを生産の現場に活用し、革新的なモノづくりを目指す動きが世界規模で広がっている(関連記事:ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】)。オムロンでは、こうした製造業におけるニーズの変化を先取りし、「Sysmac」を中心にこれらの新たなFA機器に求められるニーズを積極的に取り込む方針を示している。
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