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ちょっと珍しい“ハードウェア主導型”IoT団体「IP500 Alliance」IoT観測所(7)(3/3 ページ)

IoT団体の多くが標準を作り、そこからソリューションにつなげる手法を採るのに対し、ヨーロッパ発の「IP500 Alliance」はハードウェアありきというユニークなアプローチでエコシステムを形成しようとしている。

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中核はCoreNetiX――なぜ「IP500 Alliance」が存在するのか

 さてここで冒頭の話に戻る。「団体の目的が他のものとちょっと異なっている」と最初に書いたがこれは何か?というと、前ページの写真(Photo09)に登場していたCoreNetiXが絡んでいることだ。

 同社はIP500の中核となるハードウェアとソフトウェアのソリューションを提供するベンダーである。具体的に言えば、ソフトウェアスタック(Photo12)と、これに対応したRFモデム(Photo13)が用意されており、これを利用するだけで直ちにIP500対応機器を製造することができるとアピールされている。

 同社は他に、OEM向けのデザインサービス、プロトコルスタックの上位のソフトウェア開発、RFモジュールやアンテナのデザインサービスなども手がけており、極端な話CoreNetiXに丸投げしてもいい体制ができているということになる。

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(Photo12) これは同社のCoreNetiXテクノロジに基づくStackだが、それがIP500にそのまま対応しているという話。
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(Photo13) 今のところはModemのみを提供しているが、2016年第2四半期にはSoCと登場させるとしており、ARMか何かのMCUを統合する形になるのかもしれない

 ではなぜIP500 Alliance Japanという組織が発足したか?といえば、現状のIP500 AllianceはCoreNetiXを中核とした、同社が所在するドイツを中心にした非常に小さなエコシステムでしかないからだ。

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(Photo11) これは日本のスマートメーターを例に取ったケース

 エコシステムがエコシステムとして正常に動き出すためには、ある程度の規模が必要であり、その規模を作るためにはエコシステムに加わるメンバーを増やさなければならない。ところが、現状のIP500のソリューションはあくまでドイツを中心にしたものでしかないから、そのまま他地域に展開するのは難しい。

 そこでのアイデアが、Wi-SUNのサポートである。Wi-SUNは日本の情報通信研究機構(NICT)が中心となって開発されたもので、既にIEEE 802.15.4g/4eとして標準化も済んでいる。920MHz帯を利用し、最大500mの到達距離を持つという規格で、もっぱらスマートメータ向けに開発された規格である(NICT:国際無線通信規格「Wi-SUN」が次世代電力量計「スマートメーター」に無線標準規格として採用)

 実際の標準化作業や相互接続試験、認証作業などは「Wi-SUN Alliance」が行っており、既にMONOistでも関連記事が掲載されているのでご存じの方もいるだろう(「Wi-SUN Alliance」最新記事一覧)

 これをIP500の規格に取り込んでゆくことで、Wi-SUNの側から見ればスマートメータ以外の新しい市場が生まれることになるし、IP500の側から見れば新しいメンバーが期待できるわけで、ここも相互にメリットがあることになる。

 そんな訳で、まず標準を作り、そこからソリューションを作っていこうという一般的なIoT団体の在り方とはちょっと違い、ニュアンス的にはIBMのPredixをコアにしたIICに近いものがある(IoT観測所(5):産業機器向けIoT団体「IIC」、その狙い)。ただ、IP500 AllianceはまずCoreNetixのRFモデムがありき、というハード主導型であるところがちょっと毛色が異なる。こうした形でのエコシステムの作り方もある、いうちょっと珍しいパターンと言えよう。

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