富士通が貫く福島発“メイドインジャパン”としての誇り:メイドインジャパンの現場力(4)(4/4 ページ)
富士通のデスクトップPC生産を担う富士通アイソテックは、同社のデスクトップPCの累計出荷台数が2000万台を達成したことを発表。今や多くのメーカーが当たり前のようにPC生産の海外移転を進める中、福島県伊達市に本拠を置き、独自の生産プロセスの改善によって日本国内での生産を続けてきた同社の取り組みを紹介する。
2000万台に満足することなく次のステージに
記念式典には、岩渕氏、斎藤氏に加え、福島県副知事の鈴木正晃氏や、伊達市市長の仁志田昇司氏が登壇し、富士通アイソテックが生産するデスクトップPCの累計出荷台数2000万台達成を祝った。また、2000万台を記念して製造された富士通のデスクトップPC「ESPRIMO」のゴールドカラーも披露された。


記念式典で斎藤氏は「PCの約90%以上が中国製であるという市場環境で、メイド・イン・ジャパンを維持し続けるのは大変なこと。中国の人件費は日本の10分の1といわれている。その中で富士通アイソテックは毎年10%のコンスタントなコスト削減に取り組んだ。その結果が、累計出荷台数2000万台という数字につながったと考えている」と語った。
同氏は続けて「富士通アイソテックだけでなく、福島市や伊達市の皆さんに加え、インフラや物流など多くのパートナー企業、そしてメイド・イン・ジャパンのデスクトップPCとして多くのユーザーに販売を行ってくれた販社の皆さんの協力にも感謝したい。また、富士通アイソテックは2000万台では終わらない。今後も、日本でしかできないことの付加価値を大切にして、22世紀に至るまでメイドインジャパンを続け、3000万台、4000万台を目指していきたい」と謝辞とともにさらなる意気込みを語った。
また岩渕氏は、富士通アイソテックの沿革を振り返り、「1994年12月よりデスクトップPCの生産をスタートしてきた。その後、さまざまな方の協力のおかげで、富士通アイソテックが生産した製品に“伊達モデル”という名前をつけてご愛顧いただけるまでになった。しかし、その道のりは決して順調ではなかったし、日々生じる現場の問題をクリアしていくという毎日だった。こうした努力の積み重ねで累計2000万台を達成できたと考えている。これに満足することなく3000万台、4000万台も達成したい」と語った。
海外進出だけが能じゃない! 今こそ光るニッポンのモノづくり:「メイドインジャパンの逆襲」コーナーへ
「国内市場の縮小」「生産による差別化要素の減少」「国内コストの高止まり」などから、日本の生産拠点は厳しい環境に置かれている。しかし、日本のモノづくり力はいまだに世界で高く評価されている。一方、生産技術のさらなる進歩は、モノづくりのコストの考え方を変えつつある。安い人権費を求めて流転し続けるのか、それとも国内で世界最高のモノづくりを追求するのか。今メイドインジャパンの逆襲が始まる。「メイドインジャパンの逆襲」コーナーでは、ニッポンのモノづくりの最新情報をお伝えしています。併せてご覧ください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
富士通のPC工場、勝利の方程式は「トヨタ生産方式+ICT活用」
コモディティ化が進むPCで大規模な国内生産を続ける企業がある。富士通のPC生産拠点である島根富士通だ。同社ではトヨタ生産方式を基にした独自の生産方式「富士通生産方式」を確立し、効率的な多品種少量生産を実現しているという。独自のモノづくりを発展させる島根富士通を小寺信良氏が訪問した。富士通が野菜を作る!? ――半導体のクリーンルームを転用した植物工場を設立
富士通グループは福島県会津若松市で半導体工場のクリーンルームを転用し大規模植物工場の実証事業を開始する。同社の農業向けクラウドサービスの活用実証としてだけでなく、生産物の販路開拓なども行い、ビジネスとしてのサプライチェーン構築を行う方針だ。モノづくりをビッグデータ分析! 富士通がオムロン草津工場で実証実験開始
富士通は、オムロンの草津工場においてプリント基板表面実装ラインの品質向上および生産性改善のためにビッグデータ分析の実証実験を開始した。FJPSとは? 富士通がモノづくりノウハウを丸ごと提供へ
富士通は、ラインの自動化や解析、生産性評価などのモノづくりのノウハウを丸ごと外販するサービスをスタートする。自動化とプロセス革新で日本のものづくりを支えるという。