デジタルクラフト的お絵描きモノづくりが輝きを放つ!!:「Product for 1000」挑戦記(3)(2/2 ページ)
「Product for 1000×3Dモデラボ×Mozilla Japan」特別企画。モノづくりド素人が「Product for 1000」というフレームワークを使い、デジタルモノづくりに挑戦するプロジェクトを開始した。今回は各メンバーが考案したプロダクトのプレゼン大会の模様をお届けする。
赤塚さん:自他肉認知マシン
そして、前回の記事では、やや鳴りを潜めていたMozilla Japanのスーパープログラマ赤塚さん。今回のプレゼン大会では、なんと動くモノを試作してきました!! その名も「自他肉認知マシン」。筋肉の動きを記録でき、記録した動きと自分の動きがリンク(同期)しているかどうかを確認できる装置です。これが実現できれば、有名マラソンランナーのフォームを参考にしながら走れる! という優れモノ。試作では「Arduino」を活用。肘の動きに連動して、LEDが色を変化させながら光ります。
おや? 腕に巻いているのは……、黒いストッキング! 腕にフィットする素材を探し求めた結果がこれだったとか。近くのコンビニで購入したそうで、「試作で一番の難所が部材調達だった」(本人談)とのこと。部材の供給、特に試作段階では代用調達も時に苦労するものです……。まさに“製造業あるある”ですね。
自他肉認知マシン(の試作)を目の前に、これまでの素人お絵描き選手権のような空気が一変……。インタラクティブでメディアアートな新しい広告を提案されているようなワクワクした気持ちになりました。
それにしても、なぜ肘用サポーターではダメだったのでしょうか? なぜ苦労してまでストッキングに? きっと、“スケスケ”のストッキングに並々ならぬこだわり(意味)が……、あったに違いありません! というのも、今回は製品のファーストプロトタイプであり、その目的はプロジェクトメンバーへの共有です。つまり、スケスケのストッキングの向こう側にあるセンサーを見せる必要があったのです! そ、そうですよね? 赤塚さん……。
ここまでの振り返りと今後の進め方
「絵心」ならぬ、「モノ心」を駆使して、こんなモノを作りたい! と試行錯誤するさまは、まさにお絵描き選手権。遠近法や写実性を無視した個性溢れるイラストのように、こんな楽しいモノづくりがあってもいいと思いました。いわゆる画伯的な味のあるテイストで立体物が出来上がっていく過程は、ハッキリ言ってかなり楽しいです。きっちりかっちり、世界中のプロエンジニアたちが機能性からコスト面、安全性などさまざまな条件をクリアして、美しくムダなく仕上げられた工業製品。ありがたくもそうした製品を享受する生活の中でも、“デジタルクラフト的お絵描きモノづくり”の産物たちはさんぜんと輝く存在感を放ちます!
ここまでは、各自が作りたいモノを作りたいように進めてきましたが、プレゼン大会終了後、本プロジェクトのゴールをあらためて確認することにしました。目指すものは何か? それは、3Dモデラボ的ヒットコンテンツになり得る面白いFABプロダクトを生み出すこと。
ということで、4つのアイデアの中から、満場一致でうでみさんの「『ゆ』のみ」が選ばれました。カタチはまだないプロジェクト、今後は「ゆ」のみの商品化に向けて開発フェーズに入ります。生み出せ「湯のみ for 1000」!! (次回に続く)
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