モノづくり素人が“何か”を作る無謀なプロジェクト始動:「Product for 1000」挑戦記(1)(1/4 ページ)
「Product for 1000×3Dモデラボ×Mozilla Japan」特別企画。3Dプリンタをはじめとするデジタルファブリケーション機器の普及・発展により、“個人のモノづくり”がより身近になってきたというけれど本当なの? どうやって始めるの? そんな疑問を持ったモノづくりド素人が「だったら自分たちで実践してみよう!」と、「Product for 1000」というフレームワークを使い、モノづくりプロジェクトを立ち上げた。
MONOist読者の皆さん、お久しぶりです! “ものづくり系女子”の神田沙織です。2011年の連載から早3年、現在は製造業からアパレル業へと職種は変わりながらも、引き続き、“ものづくり系女子”としての活動を続けています。
簡単に近況を報告しますと、平日は「H.P.FRANCE(アッシュ・ペー・フランス)」のセレクトショップ「Lamp harajuku」のプレスとしてのミッションをこなし、ファッションの世界に軸足を置いていますが、アフター5には渋谷パルコで3Dプリンタを展示したり、週末にはFablab Oitaの企画で大分へ出張したりと相変わらずの“二足のわらじ”生活を送っています。
そんな活動を続ける中、2014年は大きな変化が2つありました。
1つは、先ほど触れたFablab Oitaのオープンです。九州初のFabLabが“福岡ではなく大分で誕生した!”という衝撃を九州のFABシーンにもたらし、今では福岡にも2つ、そして佐賀にもFabLabがオープンしています。もう1つは、本連載の主題となるプロジェクト「Product for 1000(以下、PF1000)」の実施です。このプロジェクトの第1回は、大分市にある公立の美術大学「大分県立芸術文化短期大学(以下、芸短大)」の専攻科向けの講義として実施されました。神田とファブリケーションデザイナーの平本知樹さん、広告プランナーのケイフジエダさんとの対話の中から生まれた、まだ新しいプロジェクトです。
1.「Product for 1000」とは?
現状のモノづくり教育は、分業化された産業の構造そのままに、材料工学から設計分野、デザイン、ユーザーリサーチなどと、バラバラの科目となっています。また、プロダクトデザイン学科も美術大学、芸術学部の中にある場合もあれば、工学部に属する場合もあり、美術大学であればデザイン(カタチ)寄りの、工学系であれば構造や設計寄りのカリキュラムになっています。
もちろん、こうした教育環境でも優れたデザイナーを輩出することは可能だと思いますが、企業に就職してインハウスデザイナーとしてやっていくのは大変に狭き門となっています。また一方で、ハードウェアベンチャーや1人家電メーカーのような新しいモノづくりの担い手が登場しつつあり、デザイナーの職能の可能性も広がってきています。
そこで、私たち3人は「デザイナー自身が、デザインをしながら最終形のモノのカタチまで作り上げることはできないか?」とPF1000を着想したのです。
「餅は餅屋」といわれるようにモノづくりの業界は、製図から加工、仕上げに至るまで、工程ごとに工場が分かれることも珍しくありません。しかし、デジタルファブリケーション(デジタルモノづくり)機器の登場によって、デザイナー1人でも試作から量産までを手掛けることが可能になってきています。そして、その量産の数について、私たちはごく少量、もしくは適量量産の目安として“1000”という数を設定しました。
PF1000を初めて実践した芸短大の講義では、夏期集中講座としての実施となり、1日3コマ×5日間(5日目は丸ごとプレゼンテーション)という、モノづくりブートキャンプ的なハードスケジュールで行われました。その模様は、以下の【Tips 1】で紹介している記事をご覧ください。
Tips 1:
芸短大で行ったPF1000の講義の様子は、以下の記事をご覧ください。
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