燃料電池車「ミライ」が使う水素は大気圧の700倍、搭載部品も高圧対応が必須:燃料電池車
トヨタ自動車の燃料電池車「ミライ」は高圧の水素を燃料に使用している。その圧力は70MPaで、大気圧の約700倍だ。このため、燃料電池車で水素を扱う部品も70MPaの高圧に対応している必要がある。ジェイテクトと愛知製鋼が発表したミライの採用部品も、水素関連の高圧対応部品だ。
トヨタ自動車が2014年12月15日に発売した燃料電池車「ミライ」の燃料は気体の水素だ。1回の充てんで700kmを走行するためには、極めて高い圧力で圧縮してタンクに蓄積しておかなければならない。その圧力は70MPa。101.33kPaの大気圧の約700倍となっている。
このため、燃料電池車で水素を扱う部品も70MPaの高圧に対応している必要がある。2014年12月16日に、ジェイテクトと愛知製鋼が発表したミライの採用部品も、水素関連の高圧対応部品だ。
ジェイテクトが採用されたのは高圧水素供給バルブと減圧弁だ。高圧水素供給バルブは、耐圧70MPaの水素タンクに装着されており、高圧水素を封止/供給する役割を担う。減圧弁は、バルブから供給された高圧水素を下流の燃料電池スタックで使用可能な圧力まで減圧する部品だ。「量産車両に必要な耐久性の実現をするとともに、高圧水素下での高い密封性を実現した」(同社)という。
愛知製鋼は、高圧水素を扱う配管や部品などに用いる鋼材として、2013年11月に発表した高圧水素用ステンレス鋼「AUS316L-H2」に冷間加工を加えて高強度化を図ったものが採用された。
AUS316L-H2は、JIS規格のSUS316およびSUS316L相当の鋼材であるとともに、独自の成分設計により、高圧水素ガス環境において高い延性を示すことを特徴としている。燃料電池車や水素ステーションの高圧水素用部品や機器の安全性、信頼性の向上に貢献できる。ミライの他、水素ステーションに用いる高圧水素用機器の採用事例も複数あるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 燃料電池車「ミライ」に人だかり、搭載部品も多数展示
「人とくるまのテクノロジー展2014 名古屋」では、トヨタ自動車が同年12月15日に発売する燃料電池車「MIRAI(ミライ)」と、その搭載部品に注目が集まった。 - 燃料電池セルの空気極側流路を3次元構造に、トヨタ車体が「ミライ」向けに開発
トヨタ車体は、トヨタ自動車が発売した燃料電池車「MIRAI(ミライ)」の燃料電池スタックに用いられている基幹部品「3Dファインメッシュ流路」の開発・生産を始めたと発表した。 - トヨタの燃料電池車「ミライ」は「あえて4人乗り」、プレミアム感と走りを重視
トヨタ自動車は、セダンタイプの新型燃料電池車「MIRAI(ミライ)」を2014年12月15日に発売する。税込み価格は723万6000円で、国内販売目標台数は2015年末までで約400台。プレミアム感と荷室の広さ、そして走りの楽しさを重視したこともあり、5人乗りではなく4人乗りとなった。 - ホンダのセダンタイプ燃料電池車はなぜ5人乗りを実現できたのか
ホンダが発表したセダンタイプの新型燃料電池車のコンセプトカー「Honda FCV CONCEPT」は5人乗りを実現している。トヨタ自動車は、同じセダンタイプの燃料電池車「ミライ」を2014年内に発売するが4人乗りだ。両車の違いはどこにあるのだろうか。 - 燃料電池車の本格普及にはSiCインバータが必要だ
CO2を排出しない次世代環境対応車としてだけでなく、今後の発展が期待される水素エネルギー社会のけん引役としても期待されている燃料電池車。日産自動車は、その燃料電池車の市場投入を表明している自動車メーカーの1つである。そこで、同社で燃料電池車の研究開発を担当する飯山明裕氏に、燃料電池車の本格普及に向けた課題などについて聞いた。