横方向に走りその場で回る電気自動車、世界で初めてナンバーを取得:電気自動車
NTNは、独自開発のインホイールモーターシステムを搭載する電気自動車「Q’mo(キューモ)」が軽自動車のナンバープレートを取得し、公道走行が可能になったと発表した。キューモは、その場回転や横方向移動が可能で、「このような従来にはない動きをする自動車がナンバープレートを取得したのは世界初」(NTN)だという。
NTNは2014年12月10日、同社が独自に開発したインホイールモーターシステムを搭載する電気自動車(EV)「Q’mo(キューモ)」が軽自動車のナンバープレートを取得し、公道走行が可能になったと発表した。キューモは、インホイールモーターの特徴を生かし、その場で回転したり、車両の方向を変えない状態で横方向に移動したりできるEV。「このような従来にはない動きをする自動車がナンバープレートを取得したのは世界初」(NTN)だという。
キューモは、後輪側の2輪それぞれに組み込んだインホイールモーターを使って、通常の走行だけでなく、その場回転や、横方向移動を行える「マルチドライビング・システム」を搭載したEVである。「東京モーターショー2013」に出展した「Q’moII」では、4輪全てにインホイールモーターを組み込んでいたが、今回ナンバーを取得したキューモのマルチドライビング・システムは、後輪2輪で同じ機能を実現した。
外形寸法は全長2395×全幅1290×全高1600mmで、車両重量は675kg。両輪合わせたモーターの最高出力は16kWで、最高速度は時速70kmである。満充電状態からの走行距離は50kmとなっている。乗車定員は2人で、国土交通省が導入を推進している超小型モビリティに適合したEVとして軽自動車ナンバーを取得した。
従来の自動車にない動き以外にも、車輪の中にモーターを収めるインホイールモーターの採用で小さな外形寸法ながら広い車室を確保できている。またマルチドライビング・システムにより、車輪ごとの駆動制御も可能なので、滑りやすい路面などでも安定した走行が可能だという。
NTNは今後、キューモの市場開拓を行うため、全国で試乗会を開催する方針。街中での近距離移動や、観光地、空港、工場といった敷地内の移動といった用途での活用提案を進める。併せて、マルチドライビング・システムを、自動運転や自動駐車といった新しい技術と融合できるよう、自動車メーカーや超小型モビリティの開発に取り組む企業に提案していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- NTNのその場回転や横移動が可能なEV、公道走行に向け登録申請中
NTNは、「人とくるまのテクノロジー展2014」に出展するインホイールモーター搭載の電気自動車(EV)「Q’MO II」の公道走行に向けた登録申請を進めているという。 - 「その場回転」や「横移動」ができる2人乗りEVコミュータ、NTNが披露
NTNは、「第43回東京モーターショー2013」において、「その場回転」や「横方向移動」といったインホイールモーター方式ならではの特徴を持つ2人乗りEVコミュータ「Q’moII(キューモツー)」を出展する。 - 原付四輪でも軽自動車でもない、インホイールモーター超小型EVがナンバー取得
NTNは、独自開発のインホイールモーターシステムを搭載する2人乗り電気自動車(EV)が、「超小型モビリティ」としてナンバーを取得したと発表した。 - インホイールモーター搭載超小型EVはシザーウイング、アニメ映画祭でデビュー
NTNは、独自開発のインホイールモーターシステムを搭載する超小型電気自動車(EV)「TOO’in(トゥーイン)」を新たに開発し、フランスのアヌシー市と共同で実施する公道での実証実験に使用すると発表。同市で開催された「アヌシー国際アニメーション映画祭」でお披露目された。 - 新東名高速道路を2人乗り小型EVが走る、インホイールモーターを搭載
NTNが開発した「小型EV用インホイールモータシステム」を搭載する2人乗り小型EVの実証実験が静岡県で始まる。新東名高速道路の「通り初め」では、この2人乗り小型EVが登場した。