ロボット規格の標準化で中韓が主導権、「日本もリーダーシップ発揮すべき」:ET2014 講演リポート(2/2 ページ)
「Embedded Technology 2014/組込み総合技術展」のカンファレンスに、アップウィンドテクノロジー・インコーポレイテッド 代表取締役社長の中村憲一氏が登壇。同氏は2014年2月に発行されたサービスロボット向けの国際安全規格であるISO 13482やロボット規格の標準化に関して中国と韓国が参加するなど国際競争が激化していることを紹介した。
中村氏はこうしたサービスロボットに関する国際規格の標準化の動きとして、国際標準化機構(ISO)の動向を紹介した。ISOは、国際規格を発行する場合、特定の産業や技術ごとに技術委員会 (TC)を設置する。その際、TCの下には必要に応じて下部組織として分科委員会(SC)や、規格策定作業を行うワーキンググループ(WG)が設けられる。
ISO 13482の場合、「オートメーションシステム及びインテグレーション」分野の技術委員会であるTC184の下部組織として、「ロボットとロボティックデバイス」に関する規格の策定を手掛けるSC2が規格全体の取りまとめを担当した。その中でも、SC2の下に設置された作業グループ、WG7(パーソナルケアロボット)とWG8(サービスロボット)が規格策定の中心的役割を果たしたという。
ロボット規格の覇権をめぐって加速する国際競争
中村氏は2014年からTC184、SC2の下に新たな作業グループ、WG10が設置されたことを紹介した。WG10は、サービスロボットに利用されるマイコンや電源、配線といったハードウェアの組み合わせを標準化するための国際規格の発行を目的に設置されたグループだという。
中村氏は「WG10は、中国の主導により設置されたグループ。中国は、自国内のロボットに関するハードウェアの規格を国際標準にするために積極的な動きを見せている。また、ソフトウェアの国際規格の策定に関しては韓国が中心的な役割を担いたいと主張している状況。このように、サービスロボットの研究開発において、国際標準規格に関する主導権争いが激化している」と説明する。
日本発の国際規格の提案も
中村氏は、組み込みシステム技術協会(JASA)の理事も務めている。同氏は、JASAが策定を進めている、ロボットと組み込みシステムのAPI(Application Programming Interface)を標準化し、ソフトウェアの移植性、再利用性、生産性を向上するためのオープンプラットフォーム「OpenEL(Open Embedded Library)」を紹介した。
JASAは2014年11月に標準化団体「Object Management Group」(OMG)に対して、OPEN ELの提案を行っており、2015年6月の国際規格化を目指して策定を進めているという。
中村氏は「今後日本がロボット大国となるためには、日本自身がリーダーシップを発揮し、ロボットに関する国際規格の策定などにおいて主導的な役割を担っていく必要がある」と語った。
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