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ダイハツの新型車「ウェイク」は新市場を切り開けるか「ハスラー」とは競合しない?(2/2 ページ)

ダイハツ工業は、車両全高が1800mmを超える新型軽自動車「ウェイク」を発表した。いわゆるスーパーハイトワゴンタイプの軽自動車を上回る全高を実現しており、「視界の良さ」と「荷室の広さ」を特徴としている。

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スズキ「ハスラー」と異なるクルマだが……

 ウェイクは、企画段階から45の使用シーンを想定し、2013年末の時点で基本的な車両開発を完了していた。2013年末から発売までの約1年は、最もレジャー人口の多い、キャンプ、釣り、サーフィン、サイクリング、スキー/スノーボード、登山の6分野の専門家からの意見を反映させるための開発に当てられたという。開発責任者のダイハツ工業 製品企画部 チーフエンジニアの中島雅之氏は、「通称『ダメだしの会』を開催して、各分野の専門家の皆さまから、2013年末時点のウェイクに足りないものについて率直な意見をいただいた。そのうち8割強については対応できたと考えている」と語る。


「ダメだしの会」で出た意見の例(クリックで拡大) 出典:ダイハツ工業

 例えば釣りであれば、夜明け前の暗い中でも作業できるようにバックドアにランプを設定した。これにより、バックドア下のスペースを使って、釣りの準備作業を行えるわけだ。またサイクリングでは、後部座席を倒して自転車を積むときに後部座席の背面が汚れてしまうという問題があった。これについては、後部座席の背面を塩化ビニール加工することで、水ぬれや汚れを気にせずに自転車を積み込めるようにした。

レジャー用途をイメージした車両展示。左から、キャンプ、釣り、サーフィン(クリックで拡大)
レジャー用途をイメージした車両展示。左から、サイクリング、スキー/スノーボード、登山(クリックで拡大)

 このようにさまざまなレジャー用途での活用を想定したウェイクだが、三井氏が言うように新市場を切り開けるかが気になるところだ。まず、ウェイクより全高が一回り低いタントなどのスーパーハイトワゴンタイプの軽自動車の競合についてダイハツ工業の専務執行役員で営業本部長を務める堀井仁氏は、「タントは子育てファミリー層が中心顧客になっている。ウェイクは、子育てから離れてレジャーなどを重視するようになった50代が中核を成すと想定している。いわば“子離れ層”だ」とする。

 ライバルのスズキが2014年1月に発売した「ハスラー」も、ウェイクと同様にレジャー用途を重視した販売戦略を進めている車両だ。消費増税後も好調なスズキの軽自動車販売をけん引しているのは、このハスラーである。ハスラーの室内寸法は、室内長2035×室内幅1295×室内高1250mmと、ウェイクに比べて室内長が180mm、室内幅が50mm、室内高が205mm小さい。室内空間については、ウェイクが圧倒的に優位だ。

「東京モーターショー2013」で披露したスズキの「ハスラー」のコンセプトカー。レジャー用途を強くイメージする展示を行っていた(クリックで拡大)

 ただしJC08モード燃費については、ハスラーは自然吸気エンジンの2WDモデルだけでなく、ターボエンジンモデル、4WDモデル、ターボエンジンの4WDモデルともエコカー減税の免税対象になっている。これについて堀井氏は「お客さまは免税/減税の違いよりも自身のライフスタイルに合っているかどうかを判断基準にしている」と説明し、ウェイクの視界の良さと荷室の広さによって得られる利点が選択基準になると示唆した。

 税込み価格は「タントより少し高い価格設定になっている」(ダイハツ工業)ウェイクの方が、ハスラーよりも高い。主力グレードとなる自然吸気エンジンの2WDモデルで比較すると、ウェイクのLグレードが152万2800円であるのに対して、ハスラーの「Gグレード」は124万6320円である。この27万5000円の価格差をものともしないウェイクの利点を、どれだけ顧客にアピールできるかがウェイクの成否を決めるのかもしれない。

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