スーパーカーの開発には最高のテストドライバーも必要だ:マクラーレン・オートモーティブ チーフテストドライバー インタビュー(2/2 ページ)
自動車を開発する上で重要な役割を果たすテストドライバーだが、スーパーカーメーカーのマクラーレン・オートモーティブではどうなのか。同社のチーフテストドライバーを務めるクリス・グッドウィン氏に話を聞いた。
「マクラーレンP1」でのアタックを経験するとスパ24時間レースが退屈に思える
MONOist 話は変わりますが、マクラーレンP1がドイツのニュルブルクリンク北コースの周回記録で7分を切ったときのドライバーを務めていたそうですね。どうやればそんな記録を打ち立てられるのですか。
グッドウィン氏 そのときの経験は忘れられないですね。900psもの出力を持つマクラーレンP1の性能を限界まで引き出したわけで、車両の挙動は極めて暴力的になり、バラバラになって飛んでいくというか、ロデオに乗っているというか、そういう感覚でした。
MONOist マクラーレンP1といえども市販車なので、レースカーと比べれば楽ではないですか。
グッドウィン氏 レースカーよりもマクラーレンP1の方がはるかに大変です。レースカーというのはレギュレーションによって性能が制限されています。しかしマクラーレンP1にそんなものはありません。最高のGTカーと同レベルのダウンフォースを持ちながら、出力ははるかに上回っているんですから。
またレースカーはスリックタイヤを使っているので十分なグリップが得られます。一方のマクラーレンP1は、特別なピレリタイヤではありますが、ロードタイヤなのでグリップは小さいのです。
スパ・フランコルシャン24時間レースを「マクラーレン12C GT3」で走ったこともあるのですが、マクラーレンP1でのアタックを経験すると、退屈に感じられてしまいます(笑)。
MONOist 現在、マクラーレンP1ベースのサーキット専用車「マクラーレンP1 GTR」の開発の真っ最中だと思います。開発は順調ですか。
グッドウィン氏 とてもうまく行っています。マクラーレンP1を上回る1000psもの出力と高いダウンフォース、そしてスリックタイヤも装備するなど、エキサイティングなサーキット専用車に仕上がると思います。
マクラーレンP1 GTRは専用のドライバープログラムも提供されます。マクラーレンがレースで得た技術と知見が得られる、世界一のドライバープログラムになりますよ。
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