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世界最高のスーパーカー「McLaren P1」は最強のプラグインハイブリッド車だった約1億円だけど国内販売分は既に完売(1/3 ページ)

McLaren Automotiveの「McLaren P1」は、最新のF1レースカーの技術を結集して開発されたスーパースポーツカーだ。大排気量のツインターボエンジンと、KERS(運動エネルギー回生システム)などに活用さている電動システムを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載している。外部電源を使って充電できるので、プラグインハイブリッド車でもある。

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「McLaren P1」

 英国のMcLaren(マクラーレン)は、FIA(国際自動車連盟)が主催するフォーミュラ・ワン世界選手権レース(以下、F1)に参戦しているレーシングチームとして知られている。2015年シーズンからは、エンジンとエネルギー回生システムを開発、製造、供給するパワーユニットサプライヤとしてホンダを迎えることが話題になっている。

 マクラーレンのグループ企業の1つに、高級スポーツカーの開発・製造・販売を行うMcLaren Automotive(マクラーレン・オートモーティブ)がある。前身のMcLaren Cars(マクラーレン・カーズ)が手掛けた「McLaren F1」に代表されるように、F1と公道走行可能なロードカーの融合をテーマにした車両を開発してきた。

 「McLaren P1」は、マクラーレン・オートモーティブが開発した最新の車両である。2012年9月の「パリモーターショー2012」で初公開した後、量産モデルの仕様が2013年3月の「ジュネーブモーターショー2013」で発表された。2013年10月には、最終的な性能データなども明らかにしている。販売台数は世界全域で合計375台。日本での販売価格は9661万500円と1億円に迫るものの、既に日本市場の販売分は完売してしまっているという。

 最新のF1レースカーの技術を結集したと聞くと、大排気量のエンジンによる圧倒的な加速をはじめとする走行性能が真っ先に思い浮かべられる。実際に加速時間は、時速0〜100kmが2.8秒、時速0〜200kmが6.8秒と極めて速い。時速0〜300kmも16.5秒で、McLaren F1と比べて5.5秒短縮しているという。曙ブレーキ工業のブレーキを用いたブレーキング性能も高く、時速100〜0kmが2.9秒、時速200〜0kmが4.5秒、時速300〜0kmが6.2秒となっている。

「McLaren P1」の外観。2人乗りでバタフライドアを採用している(クリックで拡大)

7速DCT採用のハイブリッドシステム

 しかし最新のF1レースカーはエンジン性能や空力性能だけでなく、電気自動車(EV)などで注目されている電動技術をはじめさまざまなカーエレクトロニクス技術も重要な役割を果たすようになっている。F1では、2009年シーズンから導入されたKERS(運動エネルギー回生システム)が有名だ。減速時のエネルギーを電力に変換してキャパシタなどに蓄積しておき、必要な時にモーターを動作させて加速性能を高められるという機能がある。F1レースのテレビ放送で、KERSのエネルギーの蓄積や放出状態を表示するゲージなどを見たことがある方も多いだろう。

 最新のF1レースカーの技術を結集したMcLaren P1は、このKERSの技術を応用したハイブリッドシステムが搭載されているのだ。ガソリンエンジンは、ツインターボチャージャー搭載の排気量3.8l(リットル)V型8気筒「M838TQ」で、最高出力は542kW(2500rpm)、最大トルクは720Nm(4000rpm以上)。エンジンブロックと一体化したモーターは、最高出力が132kWで、最大トルクは130Nm。F1レースカーのKERSでは、レギュレーションによりモーターの最高出力は60kWに制限されているが、McLaren P1のモーターの最高出力はその2倍以上となっている。さらに、モーターのトルクはギヤによって増幅されるため、実際に得られる最大トルクは260Nmとなる。また、モーターのローター側を冷却する機能を備えているので、最高出力を長時間維持しやすい。

「McLaren P1」のハイブリッドシステムの構成
「McLaren P1」のハイブリッドシステムの構成。車室の後方にリチウムイオン電池パックが配置されており、さらにその後方にエンジンの「M838TQ」がある。M838TQの下にあるのがモーターだ。エンジンブロックと一体化したモーターの後方には、後輪車軸に接続された7速DCTがある(クリックで拡大) 出典:マクラーレン・オートモーティブ

 大型のターボチャージャーは、低速から高速に加速する際に起こるターボラグによってスロットルのレスポンス性能に影響を与えやすい。しかし、最大トルクを瞬時に得られるモーターのアシストがあれば、ターボチャージャーのターボラグを感じずに済む。

 変速機は、7段変速のデュアルクラッチトランスミッション(DCT)を採用した。この7速DCTはエンジンとモーターを切り離すクラッチも搭載しているため、3つのクラッチを搭載していることになる。7速DCTを採用したハイブリッド車といえば、ホンダの「フィット ハイブリッド」が知られているが、3つのクラッチを搭載するという点では、フォルクスワーゲンの「ジェッタ ハイブリッド」の方が構造は似ている(関連記事:新型「フィット ハイブリッド」は時速75kmまでモーターだけで走れちゃう!)。

 これらのエンジン、モーター、7速DCTで構成されるハイブリッドシステムの最高出力は673kW、最大トルクは900Nmである。

「McLaren P1」の内部構造
「McLaren P1」の内部構造。ハイブリッドシステムに加えて、ツインターボエンジンに必要な吸排気系、シャシー系ステムなども描かれている(クリックで拡大) 出典:マクラーレン・オートモーティブ

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