新型「フィット ハイブリッド」は時速75kmまでモーターだけで走れちゃう!:今井優杏のエコカー☆進化論(5)(1/3 ページ)
自動車ジャーナリストの今井優杏さんが、独自の切り口で最新のエコカーや搭載技術を紹介する本連載。今回は、新開発のハイブリッドシステム「i-DCD」の採用により国内最高燃費を達成した、ホンダの新型「フィット ハイブリッド」を取り上げる。
世界販売台数が実に487万台、日本でも過去203万台を売り上げるホンダのコンパクトカー「フィット」が大胆なモデルチェンジをしてから約2カ月がたちました。
普通はね、ここまで売れ続けているクルマですから、ニューモデルを出せば自然と話題になる=売れる、ことは決定しているようなもの。豊富な販売実績はそれだけで盤石の信頼性にもつながる、というのは想像しやすいですよね。
ですから、売れ続けているモデルほど大幅なモデルチェンジを避け、コンセプトをキープしてイメージを変えない方が多いのです。
「ホンダのクルマをこれ以上つまらなくしたくない」
だけどホンダは過去の販売実績に甘んずることなく、新モデルである3代目フィット――テレビCMでは「FIT3」という呼び方をしていますが――に、「ま、マジっすか」と思わず二度見してしまうくらいの気合いをブシャーと注入、ハイブリッドモデルの「フィット ハイブリッド」とともに、デザイン、パワートレイン、車体の全てを新設計しちゃったのでした。
こんなにお金を掛けて作り直しちゃって大丈夫!? と、こっちが心配になるくらい。その開発費を含む先行投資額は一体何年かけて回収するつもりなのかしら、なんて老婆心も芽生えるほど。だってスポーティーグレードである「RS」に至っては、最近もはや絶滅危惧種になりつつあるマニュアルトランスミッションまで刷新しちゃったんですから!
その新車への意欲の裏には、「ホンダのクルマをこれ以上つまらなくしたくない(!!)」という、エンジニアやデザイナーにいまだ脈々と流れる『ホンダイズム』と言う名の、熱くタギる血潮がドクドクと鼓動を打っていたそうで、そういうところがホンダらしい美談なのだな、と思わずもらい泣きしちゃいそうになりました。
おかげですこぶる出だし好調なようで、発表前の事前受注台数が2万7000台、現在は既に4万5000台を超える受注台数を抱えるほど。横浜在住のウチの近所でもちらほら見掛けるようになりました。
ちょっと北米マーケットを意識したような、まるで同社「シビック」の欧州限定車「ユーロR」を彷彿(ほうふつ)とさせるようなワル顔は、遠くからやってきても存在感十分、小さいながらも威風堂々とした佇まい!
実は、報道陣向けの写真データや一般販売前の試乗会で見たときは、「?」と思っていたデザインだったのですが(感覚的なハナシですが、コンパクトカーを求めそうなユーザー層=主婦や、セカンドカーとしてフィットを使うような人には、強過ぎてウケなそうな気がしたのです)、いやいやなかなかどうして凛々しくていいじゃないですか!
それに何がうれしいって、フィットのようなコンパクトカーを選ぶ人は、白や黒やシルバーなんかのザ・保守色ではなく、ポップなアソビカラーに乗っていらっしゃる方が多いような気がするってこと! 乗るたびに元気をもらえそうですよね。
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