5種類の3次元CADの直接インポートが可能に、キヤノンの複合現実感技術が進化:製造ITニュース
キヤノンは、現実映像とCG をリアルタイムに融合するMR(Mixed Reality:複合現実感)システム「MREAL」の操作性を向上するソフトウェアをリリースした。
キヤノンは2014年10月14日、現実映像とCG をリアルタイムに融合するMR(Mixed Reality:複合現実感)システム「MREAL」の操作性を向上するソフトウェアをリリースした。
MR(Mixed Reality)とは、バーチャルリアリティー(仮想現実)技術の一種で、現実と仮想を違和感なくシームレスにリアルタイムで融合させる映像技術のことだ。例えば、今見えている視界に実際には存在しない自動車を映し出したり、部屋に仮想の家具を配置したりできる。キヤノンではこのMR技術の研究開発を重ね、2012年7月にMREALを製品化している。既に、製造業や建築・建設業における設計・製造の現場などで、デザインの検証や試作回数を削減し、開発期間やコストの圧縮を実現する支援ツールとして導入実績があるという(関連記事:キヤノンのMR技術が生み出すコミュニケーションの力とは?)。
今回、新たにリリースしたのは、11種類の3DデータフォーマットをMREALに読み込み、表示させることが可能な「MREAL Visualizer 2.0」と、3DソフトウェアをMREALへダイレクトにつなぎ連動させることが可能な「MREAL Direct Viewer 1.0」の2種類のアプリケーションソフトウェア。
MREAL Visualizer 2.0は、汎用性の高いMREAL専用ビュワーで、CATIAやNX、Creoなどを含む5種類の3次元CADデータは直接インポートできるようになった。また、その他の3次元CADデータでも6種類からいずれかの中間ファイル形式への変換で、読み込み表示することが可能となる。今までは複合する仮想用のデータの作成や移動に時間がかかっていたが、その手間を軽減できることがポイントだ。
一方、MREAL Direct Viewer 1.0は、3次元ソフトウェア(CADやビュワー)とMREALを接続し、連動させられるアプリケーション。データの編集作業とMREALによる検証作業を同時に行えるようになる。
さらにMREALの基盤ソフト「MREAL Platform MP-110」の後継として、各種設定作業の簡略化を実現する「MREAL Platform MP-120」シリーズをリリースした。事前に登録した特定の色に対してCGの表示を制御することで、現実映像とCGの前後関係を正しい位置に表示することが可能な「カラーマスキング機能」に、容易な色設定を可能にする新機能を追加した。さらに、現実の物体とCGの前後関係を正しく表示させる「オブジェクトマスキング機能」を追加し、機能向上を実現している(関連記事:見える、見えるぞ! 人の姿が――キヤノンのMRシステムが人物合成に対応)。
また、「MREALマーカー」を用いたシステムの構築を行う際に、部屋の広さや体験領域などの情報から、適切な配置を算出し図面を作成する支援機能なども備えた。その他、MREALディスプレイを使用中に、他のユーザーや壁などの障害物に近づいた時には、ディプレイの画面上に衝突警告のアイコンを表示する機能なども搭載し、使用時に衝突などが発生しないようにできるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- キヤノンのMR技術が生み出すコミュニケーションの力とは?
キヤノンは現実と仮想を融合するMR(Mixed Reality:複合現実感)技術により、設計・製造現場における新たなコミュニケーション実現を目指す。本格展開から1年が経過した“現在地”について、同社MR事業推進センター所長鳥海基忠氏に聞いた。 - 見える、見えるぞ! 人の姿が――キヤノンのMRシステムが人物合成に対応
キヤノンMJ IT グループのキヤノンIT ソリューションズは、MR(Mixed Reality)システム「MREAL」を使い、実在の人物全体を3D仮想映像空間内に合成表示する人物合成映像システムの提供を開始する。 - あ、あの部品が見えるのか? MR技術によるモノづくり革新とは――ISID
ISIDは「グローバル開発競争で勝ち抜くために」をテーマとし、MR(Mixed Reality:複合現実感)をモノづくりに活用するソリューションについてのセミナーを開催した。 - ウェアラブル端末とモノのインターネットは「現場」の救世主となるか?【前編】
製造現場や保守現場、建築現場など、多くの業種においてさまざまな「現場」が存在しているが、その現場が今“悲鳴”を上げていることをご存じだろうか。その救世主として今急速に注目を浴び始めたのが、ウェアラブル端末とIoT(モノのインターネット)だ。本稿では、前編で「現場」の現状となぜウェアラブル端末に注目が集まるのかについて、後編でICTを活用した「現場」の将来像について解説する。