目指すは“軽労化”――パワーアシストで力を不要にするアクティブリンクの挑戦:産業用ロボット(2/2 ページ)
高齢化社会を“軽労”で切り開く――。パワードスーツを展開するベンチャー企業アクティブリンクは、記者向けの事業説明会を開催。今後の事業計画とともに、2015年度に量産を開始するパワーアシストスーツの紹介を行った。
腰の負担を減らすパワーアシストスーツ
2015年度に量産を開始する「アシストスーツ AWN-02」は、腰の曲げ伸ばしをサポートすることに特化したシンプルなパワーアシスト機器だ。リュックサックのように背負い、上体と腰、太ももを固定。腰の両脇に配置された2つのモーターの動きで、腰の曲げ伸ばし、上体の固定などを支援する。最大で15kgf(重量キログラム)のアシスト力を発揮するという。尻部分にバッテリー部があり、バッテリー装着時で重さは7kg台前半(製品販売時)。バッテリー駆動時間は3時間としている。
構造も非常にシンプルで、2つのモーターに設置されたセンサーでモーターの回転位置を読み取り、どのような支援が必要な状態かを判断する。「各種センサーを入れることも考えたが、まずはシンプルな構造で低価格化を実現するとともに、軽量化を実現することを最優先した」と藤本氏は述べる。価格については「販売方法によって変わってくるが、50万円以下を目指したい」(藤本氏)。
現在、同製品は総合物流業者である辰巳商會と共同で実証実験を行っているが「定性的な評価としては『楽になった』という声が多く、実用に耐え得ると判断している」と藤本氏。今後はさらに軽量化とコストダウンを進め、最終的な製品に仕上げていく計画だ。
2016年には上半身タイプと下半身タイプを計画
今後はさらに、製品バリエーションを拡大していく方針だ。2016年には腰部だけでなく、上半身全体と下半身全体をカバーする「パワーローダーニンジャ」のプロトタイプを投入予定。組み合わせれば全身の作業を支援することが可能だ。アクティブリンクの製品は関節部位ごとにノウハウを蓄積し、その技術を切り出すことで最適な製品構成を実現できることが特徴で「パワーローダーニンジャについても上半身モデルと下半身モデルは基本的には別の構成とする」(藤本氏)としている。また2019年には100kgfの“人間では不可能な領域”を支援する「パワーローダー ライト」のプロトタイプをリリースする計画としている。
また、当面は日本のみの展開を行うとしているが、需要が高まれば海外への展開も視野に入れるという。「最も高齢化が進んでいる日本で実績を積めば、同様の悩みを抱える欧州や中国などでも需要が出てくる。まずは日本で市場を作り、地位を確立していく」と藤本氏は今後の目標を語っている。
ロボット開発の最前線
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