目指すは“軽労化”――パワーアシストで力を不要にするアクティブリンクの挑戦:産業用ロボット(1/2 ページ)
高齢化社会を“軽労”で切り開く――。パワードスーツを展開するベンチャー企業アクティブリンクは、記者向けの事業説明会を開催。今後の事業計画とともに、2015年度に量産を開始するパワーアシストスーツの紹介を行った。
高齢化社会を“軽労”で切り開く――。パワーアシスト技術を展開するベンチャー企業のアクティブリンクは2014年9月11日、親会社であるパナソニック、三井物産とともに都内で記者向けの事業説明会を開催。今後の事業計画や2015年度に量産を開始するパワーアシストスーツについて紹介した。
アクティブリンクは2003年にパナソニックの社内ベンチャー制度で設立されたパワーアシスト機器を開発するベンチャー企業だ。さまざまなパワーアシスト機器の開発を行ってきており、2013年に三井物産からの出資を受け、業務提携を行った。現在は、パワーアシスト機器の企画や開発、コンサルティングなどをアクティブリンクが行い、製造と営業支援をパナソニック、営業支援を三井物産が担う役割となっているという。
高齢化を受けた「パワーバリアレス社会」の実現
アクティブリンクは、企業ビジョンとして「パワーバリアレス社会」を提唱する。アクティブリンク 代表取締役社長 藤本弘道氏は「力が必要な現場で力が不要な社会を作り上げることが当社の目標だ」と語っている。
その背景には高齢化および少子化により人口減少局面にある日本社会の現状がある。2010年の国勢調査では人口が1億2806万人で高齢化率が23%だったが、2055年には人口が8674万人、高齢化率が39.9%になるという推計が出ている。この中で深刻になっているのが労働人口の減少だ。「働く人が圧倒的に足りない時代が来る。その中で労働において省人化や軽労化を求める傾向は加速する。その支援方法の1つとして、パワーアシスト機器が存在する。労働人口が減少する中でパワーアシスト機器の市場は大きく成長することが予想される」と藤本氏は語る。
パワーアシスト機器には、介護や農業、運搬など、さまざまな用途が想定されているが、同社では「まずはB2Bに向けた汎用用途に向けた製品を主力として投入していく」(藤本氏)。まずは物流拠点や工場、倉庫、建築現場などへ提案を進めていく方針だという。
そのため、装着時間が30秒以内で済むということを開発目標に据えており、身体拘束もラフな形で行えるものを目指しているという。さらに制御方式も非常にシンプルで、基本的には電動アシスト自転車と同じような原理で動作するようにしている。藤本氏は「特別なセンシングなどは必要なく汎用センサーで取ったデータの変動で身体状況を把握し、それに対し適切な方向にアシスト力を加えるという仕組みを取る。より実用的なモノを目指した」と話している。
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