シャープ、アフターサービスパーツの在庫量削減を狙いPTCのSLMシステムを導入:製造IT導入事例
シャープは、PTCのSLM(サービスライフサイクル管理)システムを導入することを明らかにした。従来人手に頼ってきたサービス部品の管理をシステムに任せることで、部品供給や在庫量の適正化を目指す。
シャープは、アフターサービスパーツの在庫量の最適化や部品供給の適正化を狙い、PTCのSLM(サービスライフサイクル管理)システムであるサービスパーツマネジメントシステムを導入する。PTCジャパンが都内で開催したユーザーイベント「PTC Live Executive Exchange」で明らかにした。
製造業においては、競争の過熱により製品個々の差別化が難しくなってきている。この状況の中、差別化や新たなビジネスモデル構築の手段として、アフターサービス部門にてこ入れするケースが増えてきている。
シャープでは、アフターサービスの強化を進めており、コールセンター業務の強化などを推進。日本でのノウハウを海外展開するために、海外コールセンターに向けたグローバルナレッジマネジメントシステムを立ち上げた。コールセンターで的確な情報提供と判断を下せるようにしたことでサービス員の無駄な訪問を30%削減することに成功したという。このシステムにPTCのナレッジマネジメントシステムを採用している(関連記事:再注目される“暗黙知”の管理――シャープ、牧野技術サービスの場合)。
今回はさらに、アフターサービスパーツの業務改革にも乗り出すことを決定。従来の同社のアフターサービスパーツの管理は、人手を中心としたもので、部品の供給遅れや在庫の過多や不足など、不適正な在庫水準となることが多かった。また商品事業部門との連携も取れていない状況だった。
これらを改善するために、PTCの「サービスパーツマネジメントシステム」を導入することを決定。2014年秋に本格導入するという。アフターサービスパーツの需給管理を確実に行えるようにし、在庫の適正化を図るとともに、生産や供給を計画通りに進めていけるようにする。
シャープ CS・環境推進本部 副本部長 兼 CS 企画統轄 中川潤子氏は「今までは属人的な体制となっており、作業にばらつきがあり、計画通りに運営できているとは言い難かった。新たなシステムの導入により、効率を高めていきたい」と話している。
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