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IoTがもたらす“月の陰”でもつながる価値――「戦略転換が必要」とPTC CEOPTC Live Global 2014(1/2 ページ)

米PTCはユーザーカンファレンス「PTC Live Global 2014」を開催。基調講演に立ったPTC社長兼CEOのヘプルマン氏は、製品の形が“スマートコネクテッドプロダクト”となることにより、IoT(Internet of Things)やサービス化が進み、製造業の形が大きく変わることを訴えた。

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PTC Live Global

 米国の大手PLMベンダーであるPTCは2014年6月15〜18日(現地時間)、米国マサチューセッツ州ボストンにおいてユーザーカンファレンス「PTC Live Global 2014」を開催し、ユーザー企業やパートナー企業など世界中から2000人以上が参加した。基調講演に立った同社社長兼CEOのジェームス・E・ヘプルマン(James E. Heppelmann)氏は「あらゆるモノ(製品)が“スマートコネクテッドプロダクト”となることで製造業を取り巻く環境は大きく変化し、戦略的な転換を選択しなければならなくなるだろう」と訴えた(関連記事:製造業を揺さぶる7つの力とは?――「今こそ変革が必要」と訴えるPTC社長ヘプルマン氏)。

PTC社長兼CEOのヘプルマン氏
PTC社長兼CEOのヘプルマン氏による基調講演の模様

IoT時代の幕開け

 米PTCのユーザーカンファレンスは毎年恒例となっているが、今回のキーワードが「スマートコネクテッドプロダクト」だ。あらゆる製品がスマート化し、インターネット接続できるようになることで、製造業を取り巻く市場や顧客、製品など環境の全てが大きく変化しようとしており「スマートコネクテッドワールドが広がろうとしている」とヘプルマン氏は述べる。

 実際に、インターネット接続機器の普及台数は急増を続けている。2010年に約70億台だったのが2020年には500億台、2035年には1兆台になる見込みだ。これらによる関連の経済効果は大きく、2025年には6.2兆ドルになるとみられている。

 ヘプルマン氏は「この経済効果は3Dプリンタ関連市場の10倍以上で、クラウドコンピューティングがもたらす経済効果を上回る」と語る。さらに「IoTというと通信企業やIT企業などが多くの提案を行っているが、重要なのは“Internet”の部分ではなく“Things(モノ)”の部分だ。あらゆるサービスはモノを通して行われ、モノがイノベーションを生み出す」とIoTにおけるモノとしての製品の価値を強調する。

製品を生み出す要素の変化

ヘプルマン氏
「スマートコネクテッドプロダクトにより、多くの企業にとって今までの戦略転換を求められる」と語るヘプルマン氏

 その中で「製品の形も変化している」とヘプルマン氏は述べる。同社では、ハーバード大学経営大学院教授のマイケル・ポーター(Michael Porter)氏と製造業を取り巻く環境について共同研究を進めているが、製品の変化には3つの段階があり「スマートコネクテッドプロダクトにより、多くの企業にとって今までの戦略転換を求められるという研究結果が出ている」とヘプルマン氏は語る。

 従来の製品は、メカとエレクトロニクスで構成されるフィジカルプロダクト(物理的製品)だったが、それがCPUを搭載しソフトウェアやセンサー、ユーザーインタフェースなどを搭載したスマートプロダクトへと進化してきた。さらに、それらが現在では、ネットワークで接続される“スマートコネクテッドプロダクト”となっている。IoTはこのスマートコネクテッドプロダクトにより構成されるというわけだ。

製品を構成する要素の変化
製品を構成する要素の変化(クリックで拡大)

 これらの製品の進化も伴い、製品を生み出す上で考えなければならない要素も変化している。考えなければならない1つのポイントは、製品やそれに必要な機能を「ハードウェアで作るのか、ソフトウェアで作るのか」という点だとヘプルマン氏は言う。ハードウェアで実現する機能の多くを既にソフトウェアで実現できるようになってきている。実際に多くの製品で多くのソフトウェアが利用されており、その量は「われわれの製品よりも、皆さんが持つ製品に組み込まれたコードの行数の方が多い可能性さえあるほどだ」(ヘプルマン氏)。

 また、「エンベデッド(組み込み)とするのか、クラウドとするのか」というのも考えなければならない点の1つだ。「その機能を製品内に組み込んだ方がいいのか、クラウドで外部から機能だけを提供した方がいいのか、それが選択できる状況にある。その中でどういう選択をすべきなのかを考えなければならない」(ヘプルマン氏)。

 さらに製品を「プロダクト(モノ)として提供するのか、サービスとして提供するのか」という問題もある。ヘプルマン氏はオランダのフィリップスとワシントンDCの事例を紹介した。「フィリップスの照明部門はワシントンDCと駐車場の照明のLED化について契約した。それはLED照明の販売ではなく“LED照明というサービス”の提供を10年間受けることができる契約だ。ワシントンDCにとっては大きな初期投資が必要ない。またLED化により低減できる電気代料金で、サービス料をまかなえばいいという利点がある」とヘプルマン氏は解説する。

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